日産自動車のゴーン会長が逮捕された。自身の役員報酬を過少に記した有価証券報告書の虚偽記載の疑いである。本当のところはこれからの調べで明らかになっていくのだろうが、長きにわたって権力の座に居座り、一極化していたことは事実だ。日本人でない人がやってきて、日本経済は実質グローバル化したように見えたのに思わぬことになってしまった。
それにしても、ホリエモンの時もそう思ったが、日本人は新興勢力が嫌いだ。商工会議所とか日経連とかロータリークラブとか、経済人の団体に属し、先輩を立てていれば可愛がられるのだろうが、一人で目立つことをやれば、同じように金儲けしていても、「金の亡者」とたたかれる。成金というか、チャンスに強い成功者が妬ましいのだろう。
時代がよかったこともあって、私は地域新聞を始めて毎年、広告収入を伸ばしてきた。売り上げが伸びるためには何が必要かといえば、新聞に対する信用である。「信頼できる」記者が作る「信用できる」新聞であることを心掛けた。こつこつと地域を歩き、話を聞いて回った。紙面に知り合いが載っていれば興味を持って読んでくれるから、出来る限り多くの人が登場するように工夫した。
飛び込みで入った会社の社長が、毎月広告を載せてくれた。「あんたところに毎月名前があることがいいんだよ。みんなが読んでるからね。いい新聞を続けてよ」と言われ、地域の人たちが楽しみにしている新聞作りをしてきてよかったと思った。ホリエモンが「金は道具」と言っていた。彼は道具で何を造りたかったのだろう。
私は「文化」を夢見ていた。新聞の次に地域雑誌を作り、近郊の美術館や文化財巡りのバスツアーを企画し、大学に公開講座をお願いした。実現しなかった「音楽祭」は今、市の事業にとして行われている。ホンの少し、市の「文化」にどこかで貢献できたのではないかと思う。今晩は「新任7人の会」の集まり。先輩も来てくれる。どんな話で盛り上がるのか楽しみだ。