友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

止めることはできない

2008年02月07日 21時59分56秒 | Weblog
 NPO法人をどんな形にするか、いろいろ議論した後、世間話になった。もう70歳に手が届くようになったかつての猛烈社員たちも近頃ではグチが多い。「どうもこの頃、物忘れが多くなって困ったものだ」「いや、そんなことは誰でも同じですよ」「そろそろアルツハイマーですかね」「アルツハイマーに効く薬があるそうですね」「アルツハイマーかどうかを診断できる医者がいないから、結局アルツハイマーと診断された時は手遅れなんですよ」「それじゃー薬では治らんわけですか」「進行を遅くすることはできるみたいですね」。

 その時、友人が「猫も象も、死がやってくれば、見られないところへ行って死ぬわけですよ。人間もそんな遺伝子があるから、死を受け入れることが出来るんじゃないですか。もし、いつまでも正常な神経のままなら、死を恐れて発狂してしまうんじゃーないかな。だんだん、ボケてくることも自然の摂理としては大切なことじゃーないか」と言う。老いていくことは自然なことで、そう受け止めて生きていくことだというのだ。

 私もそう思っている。今朝のNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』を思い出した。師匠が病で倒れ、病院に担ぎ込まれる。主人公が師匠のベッドの脇で「私を置いて逝かんでください」と泣きながら言う。すると、師匠は「ほんまに馬鹿やちゃな。それじゃーお前は私よりも先に死ぬというのか。順番じゃ。順番だからいいんじゃ」。そんなことを言っていた。

 アルツハイマーを止めることも、肉体の老化を覆すことも、ましてや時間を取り戻すことも、人間にはできないし、すべきではない。あるがままを受け入れていくことが私は一番大事だと思っている。私も含めて、戦争を知らない世代が圧倒的になってきた。国会中継を見ていても、若い政治家が多い。そんな若い世代の人たちは戦争の悲惨さも知らないし、権力に抗したデモだって行ったことも無ければ見たこともない。どんなに戦争の悲惨さを強調したところで、実感としては受け止められない。社会的な抗議行動は跳ね上がりとしか受け止められない。

 武力で国が守れるのか、兵器が平和をもたらすのか、若い世代の人々はきっと理屈で現実を考えてくれるだろう。私はそう期待している。科学技術の発展は確かに人々に豊かさをもたらした。けれども豊かさと同時に地球の破滅も芽生えさせた。人は殺し合ってはならない。人は人を憎んだりせずに、愛し合うことの方がいい。ささやかに生き、静かにこの世を去る方がいい。若い世代に残せる死に方をしなくてはならないと思う。
コメント
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