吉本新喜劇が好きだと言う、昭和46年の卒業生が「チケットが送られて来たので届けます」と、持って来てくれた。それで、彼の運転で食事に行き、春日市文化フォーラムで開催中の『96歳セツ新聞ちぎり絵原画展』を観てきた。
新聞でも紹介されていたので、どんなものなのかと興味はあったが、作品を見て驚いた。よく新聞に「ちぎり絵」が載ることがあるけれど、セツさんの作品はかなりレベルが高い。作品を制作している動画も上映されていたが、根気がよく無ければ出来ない。
作品の大きさはハガキ大で、作っている物は食べ物が多いが、花や魚や昆虫など身近なものをテーマにしている。一番驚いたのは、90歳から「ちぎり絵」を始めたことで、動機はダンナを亡くして気抜けになっていた時、長女の勧めだった。
元々根気強い性格だったかも知れないが、新聞やチラシから作品に合いそうなものを選び、下絵に沿てちぎった紙片を貼っていく。皿に盛られた食べ物は、陰影や膨らみそして色艶まで工夫されている。
感心したのは、器の光の当たている部分と陰の部分が、上手に貼り分けられている点だ。バカバカしいほどの手作業で1片1片、根気強く積み重ねられている。私は思わず、カードになった作品を2点、トートバッグを1点買ってしまった(写真)。
帰りに喫茶店で卒業生と話し込んだ。彼はデパート勤務だったが今はもう無い。「デパートの時代は終わりました」と淋しそうに言う。「NHKのテレビニュースも、音声がAIに代わりました。どんどん人は不要になっていきますよ」。
確かに「絵を描く基本はデッサン」と教えてきたが、今はコンピューターの操作が最重要になっている。でも、人が持っている美意識を磨かなければ良い作品は創れないだろう。そんなことを言ってるから、「クソジジイ」と言われてしまうのかも知れない。
喫茶店の奥に、よく知る女性の白い髪が見えた。カミさんのランチ仲間が、奥の席を陣取っていたのだ。暖かく風の無い行楽日和なのに、喫茶店はやはり高齢の客が多い。付き合ってくれた卒業生に感謝である。
卒業生がFacebook「同級生タイムス」に載せてくれました。
センス、ユーモアが感じられます。
3年前にFacebookに投稿して良かった〜