へんな洋食屋カフェ

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末っ子の社会人デビューも二月目に入り初任給も戴きパソコンと包丁が買いたいと始まった。パソコンは社会人デビューのお祝いとしておばちゃんが買ってくれるらしいが問題は包丁である。オイラの包丁が欲しいと謂うので10年20年と使い込んだ包丁はあげられないと断ったがおじいちゃんが使っていた「菊秀」という本打をあげていたなっー！「菊秀」は中区に本店が在る老舗の刃物屋でオイラも牛刀を一本ひ持っている。スエーデン鋼の本打だから間違いは無い刃物だ。末っ子は料理の仕事を選び修業に大手のイタリアンレストランに勤務(気持ちは修業だが)しているが、包丁捌きそのものよりも「研ぎ」が大事だから最初の一本で約五年は研ぎに専念してマスターしてもらいたいというのがオイラの希望である。ゆくゆく、へんな洋食屋を継いで一人立ちの際にはオイラの業物を六本と本山(天然砥石4000番手)を受け継いで貰うつもりだ。研ぎを五年も欠かさず行えば自然と料理の腕も上がるのは習字に例えられる「筆を持たずとも硯で墨を摺
るだけで達者に為る」との格言と一致します。野球やテニスの素振り10万回にも通ずる格言だ。牛刀一本を刃が無くなる迄に研いだらかなりの達者に為るだろう。