尖閣諸島をめぐる日中間の対立が武力紛争に発展しないかとの懸念が欧米諸国の間で広がっています。
フランスのLe Monde紙は2月7日付「太平洋の危険なゲーム」と題するコラムで「太平洋の端で改めて武力紛争の亡霊がさまよってでもいるのだろうか。答えは、多分そうだ」と危機感をあらわにし、「尖閣諸島の周辺水域が豊かな漁場であり海底資源に富んでいるにしても、東シナ海に居座った好戦的な敵対の雰囲気は正当化できない」と強調しています。
安倍晋三首相は1月22日、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(ダボス会議)で、現在の日中関係を第一次世界大戦前の英国とドイツの対立関係になぞらえて物議をかもしました。
イギリスのFinancial Times紙1月24日付は、「東シナ海戦争への漂流をとめよ」と題する社説で、「日中間で戦争の可能性が、世界の直面する最大の安全保障上の危険の一つとして急速に浮上しつつある。不幸なことに日中両国政府は、紛争を起こらないようにするために何もしていない」と警告しました。
Le Monde紙によると、1月31日~2月2日にドイツのミュンヘンで開かれた安全保障に関する国際フォーラム(ミュンヘン安保会議)で、キッシンジャー元米国務長官は「アジアの情勢は19世紀の欧州情勢にますます似てきており、武力紛争も排除できない」と発言したといいます。
Le Monde紙は続けて「戦争はしばしば誤った計算から始まる」と指摘。中国による防空識別圏の設定、安倍首相の靖国神社参拝など、双方による「挑発に対する挑発」を批判し、「相手の感受性に対する双方の側のあからさまな無関心は、あらゆる誤解のもとだ」と強調しています。
<2月9日付「しんぶん赤旗」より>