気象庁は今日の午前、関東地方に春一番が吹いたと発表した。因みに昨年は2月14日のに観測されているから、昨年より3日遅いということになる。気温も東京で20℃を超えた。春一番といえば、春を予感させる好ましい語感であるが、春の到来に先駆けて吹く強い風の名だ。能登あたりの漁師が付けた名で、待っていた春が近いことを知らせる風でもある。
春一番山を過ぎゆく山の音 藤原 滋章
山の中で強風に会うのも怖いものだ。木々の茂る地帯では、木を揺すぶり、山は悲鳴に似た音をたてる。交錯した木立がきしみ、枝を大きく揺すぶる。枝が折れて飛んでくるような気がしてさらに恐怖感を増幅させる。ある間隔を経て、力づよく押し寄せてくる。
しかし、その春の嵐のような風が過ぎれば、季節は戻り、三寒の次には四温がやってくる。季節はこんな営みの間に、早春の花を咲かせる。もう田の土手には、オオイヌノフグリの可憐な花が顔を見せている。