みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0183「飛び立とう」

2018-03-24 19:59:09 | ブログ短編

 春になると新しい生活(せいかつ)が始まる。いろんな出会(であ)いとかあって、友達(ともだち)を作らなくちゃとか思うかもしれない。でも、私はちょっと変わってるかも。特別(とくべつ)仲の良い友達を作ろうとは思わない。今までだって、普通(ふつう)に友達はいたしね。
 私って、みんなと同じことをするのが苦手(にがて)なの。それに、あの子の仲間(なかま)とか、この子の友達とか、そういう枠(わく)に入りたくないんだ。私は、いつでも自分のやりたいことを自由(じゆう)にしたいの。誰(だれ)かとどこかへ行ったり、同じものを着(き)たり食べたり、そんなのおかしいわ。
 これは、他(ほか)の子を否定(ひてい)しているわけじゃないのよ。これが私の生き方なの。私は、人と違(ちが)っていることをいけないこととは思わない。むしろ、違っていることを楽しんでいるのかもしれない。人それぞれ、いろんな生き方があっていいんだもん。
 私は他の人をバカにしたり、悪口(わるくち)を言ったりしない。だって、私ってそんなすごい人間(にんげん)じゃないし、天才(てんさい)でもない。私思うんだけど、他の人はきっと私にないものを持っているはずよ。私の知らない世界(せかい)を持ってる。それってすごいよね。いろんな人と話ができれば、どんどん私の世界も広がっていくのよ。
 ――これは夢(ゆめ)みないな話。ほんとうの私は……、ただの臆病(おくびょう)な人間。人とおしゃべりするのが苦手で、コンプレックスの固(かた)まり。でも、そんな私でも春になると、飛び立ちたいともがいてる。あと少しなの、あとちょっとで、きっと…。
<つぶやき>人それぞれに人生があります。それはあなただけのもの。大切(たいせつ)にしましょう。
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0182「本当の気持ち」

2018-03-23 19:18:04 | ブログ短編

「ほんと、あり得(え)ないわよ。こんなこと…」明日香(あすか)は頭をかかえていた。
「ねえ、どうしたのよ」隣(となり)で心配(しんぱい)そうに有紀(ゆき)が訊(き)いた。
「ううん、何でもないの」
 明日香は自分の気持ちを奮(ふる)い立たせようと顔を上げた。
「昨日、あれから何かあったの?」
「ない、ないわよ。あるわけないじゃないの。あんな奴(やつ)と…」
「そうか。何かあったんだ」有紀は肯(うなず)きながら、「言ってごらん。聞いてあげるから」
「だから、何にもないって。何があるって言うのよ」
「また、やっちゃったんだ。今度は、何が原因(げんいん)なの?」
「そんなの知らないわよ。向こうが勝手(かって)に…。ああっ…、もう思い出したくもない」
「そんなこと言っちゃって。あんたたち、けっこう仲良(なかい)いよね」
「よくないわよ。あんなイヤな奴…。もう、顔も見たくないわ」
「とか言っちゃって、ほんとは会いたいくせに」有紀はニヤニヤと笑っていた。
「会いたくなんか…。向こうが来るから…しかたないじゃない」
「そうだね。ほんと、イヤな奴だよね。私が言っといてあげるよ。もう近よるなって」
「いや、そこまで…」明日香はちょっと困(こま)った顔をして、「あたしから言うから、ちゃんと」
「そう」有紀はすべてを納得(なっとく)した感じで、「ちゃんと返事(へんじ)しないと、ダメだよ」
<つぶやき>昨日、何があったんでしょう。意外(いがい)と、自分の本心(ほんしん)は気づかないのかもね。
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0181「微笑みの魔力」

2018-03-21 19:00:08 | ブログ短編

「ねえ、今の人って誰(だれ)なの?」鈴子(すずこ)は真理(まり)に訊(き)いた。
「ああ、彼は――」真理はにっこり微笑(ほほえ)んで言葉(ことば)をにごした。
 真理は合う度(たび)に違(ちが)う男に送(おく)られて来る。どれも美男子(びだんし)かお金持(かねも)ちそうな男ばかり。友達の間ではけっこう噂(うわさ)になっている。鈴子も興味津々(きようみしんしん)でいるのだ。
「この間の人とは違うわよね」鈴子はたまらず訊いてみた。
「この間の?」真理は首を傾(かし)げて訊き返す。
「そうよ。今の人とは違ったわよね?」
「そうだったかしら――」真理はそう言うと、また微笑んだ。
 鈴子は思った。きっと男たちは、この微笑みにやられちゃうのね。
 確(たし)かに、彼女の微笑みには男をとりこにするような魔力(まりょく)があった。その力(ちから)は、学生の頃よりもさらにパワーアップしている。
「真理って、彼氏(かれし)っているの?」鈴子はさらに突(つ)っこんだ。
 周(まわ)りにいた友達は、驚(おどろ)きの目で鈴子を見た。今まで、真理に男の話しをふるのはタブーとされていた。まして、彼氏のことを訊くなんて…。でも、みんなの不安(ふあん)をよそに真理は、
「あたし、まだ好きな方はいないのよ。なかなか縁(えん)がなくて」
 真理のお嬢様(じょうさま)ぶりに、鈴子もこれ以上(いじょう)なにも言えなくなってしまった。
<つぶやき>好きな人に微笑みかけられると、ぞくぞくってしませんか。恋の魔法(まほう)かもね。
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0180「愛人志望」

2018-03-20 19:00:22 | ブログ短編

「でね、あたし考(かんが)えたの」明日香(あすか)は得意(とくい)げに言った。「結婚(けっこん)して妻(つま)になるより、愛人(あいじん)のほうがどんなに楽(らく)かって」
 私は、今までこの娘(こ)にどれだけ振(ふ)り回されたか。もう大抵(たいてい)のことには驚(おどろ)かないわ。私はさとすように言ってやった。
「愛人だって楽じゃないんじゃない。それはそれで…」
「でも、旦那(だんな)に縛(しば)られるよりは良いわよ。自分の好きなようにできるのよ」
「なに言ってるの? そんなこと言ってられるのは若(わか)いうちだけよ。男なんてね――」
「だからよ。もしそうなったら、由佳(ゆか)に助(たす)けてもらうわ。よろしくね」
「えっ、何で私が? イヤよ、そんなの」
「あたしたち親友(しんゆう)でしょ。今まで助け合ってきたじゃない」
「よく言うわよ。私がどれだけ…」
「あっ、そうだ!」明日香は突然(とつぜん)ひらめいた。「由佳の旦那の愛人になればいいのよ。そしたら、あたしたちもっと仲良(なかよ)くなれるわ」
「冗談(じょうだん)じゃないわよ。うちの人は、そんなことしません」
「でも…。この間(あいだ)会ったとき、すっごくあたしに優(やさ)しくしれくれたのよ」
「それ、いつの話しよ。言っとくけどね、うちの旦那に手を出したら許(ゆる)さないから!」
<つぶやき>人のやらないことをやる。ある意味(いみ)、才能(さいのう)なのかも。でも、迷惑(めいわく)かけちゃ…。
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0179「やきもち?」

2018-03-19 19:05:26 | ブログ短編

「なあ、何か怒(おこ)ってないか?」良太(りようた)は恵里香(えりか)の顔を覗(のぞ)き込んで言った。
「別に、怒ってなんかないわよ」恵里香は顔をそむけるように答(こた)える。
「いや、何かあっただろ。俺(おれ)でよかったら、話し聞いてやるぞ」
「別に、話すことなんかないわよ。もう、ほっといて」
 良太は恵里香が行こうとするのをとめて、「ほっとけないだろ。俺たち友達(ともだち)じゃないか」
「……。だから、いいって言ってるでしょ。もう…、女とチャラチャラしてるくせに」
「えっ、何だよそれ? 誰(だれ)のことだ?」
「あなたよ!」恵里香は思わず言ってしまった。もうこうなったらハッキリさせようと彼女は決めて、「昨日、奇麗(きれい)な女の子と歩いてたでしょ。あたし、見てたんだから」
「ああ、あいつか」良太にも心当(こころあ)たりがあるようだ。「別にいいだろ。俺が誰と歩いてたって。何でそんなことで怒るんだよ」
「何でって…。だから、あたしは怒ってなんかいません」
「いや、怒ってるね」良太は恵里香の頬(ほお)に両手を当てて、「この顔は怒ってるだろ」
「もう、何するのよ」恵里香は良太の手を振りはらい、「あたしたちそんな関係(かんけい)じゃ…」
「あいつは、俺の従妹(いとこ)だよ。お前が思ってるような奴(やつ)じゃないから。心配(しんぱい)すんな」
「えっ、そうなの?」恵里香は、じわじわと恥(は)ずかしさがわきあがり顔を赤くした。
<つぶやき>恋の始まりの、ちょっと切なくじれったい。気持ちを伝えてスッキリさせよ。
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