みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0182「本当の気持ち」

2018-03-23 19:18:04 | ブログ短編

「ほんと、あり得(え)ないわよ。こんなこと…」明日香(あすか)は頭をかかえていた。
「ねえ、どうしたのよ」隣(となり)で心配(しんぱい)そうに有紀(ゆき)が訊(き)いた。
「ううん、何でもないの」
 明日香は自分の気持ちを奮(ふる)い立たせようと顔を上げた。
「昨日、あれから何かあったの?」
「ない、ないわよ。あるわけないじゃないの。あんな奴(やつ)と…」
「そうか。何かあったんだ」有紀は肯(うなず)きながら、「言ってごらん。聞いてあげるから」
「だから、何にもないって。何があるって言うのよ」
「また、やっちゃったんだ。今度は、何が原因(げんいん)なの?」
「そんなの知らないわよ。向こうが勝手(かって)に…。ああっ…、もう思い出したくもない」
「そんなこと言っちゃって。あんたたち、けっこう仲良(なかい)いよね」
「よくないわよ。あんなイヤな奴…。もう、顔も見たくないわ」
「とか言っちゃって、ほんとは会いたいくせに」有紀はニヤニヤと笑っていた。
「会いたくなんか…。向こうが来るから…しかたないじゃない」
「そうだね。ほんと、イヤな奴だよね。私が言っといてあげるよ。もう近よるなって」
「いや、そこまで…」明日香はちょっと困(こま)った顔をして、「あたしから言うから、ちゃんと」
「そう」有紀はすべてを納得(なっとく)した感じで、「ちゃんと返事(へんじ)しないと、ダメだよ」
<つぶやき>昨日、何があったんでしょう。意外(いがい)と、自分の本心(ほんしん)は気づかないのかもね。
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