みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0176「輪廻転生」

2018-03-10 19:07:30 | ブログ短編

「本当(ほんとう)に殺(ころ)したのか?」取調室(とりしらべしつ)で刑事(けいじ)が自首(じしゅ)してきた男に訊(き)いた。
「ほんとです。間違(まちが)いありません」浅黒(あさぐろ)い顔の男は大きな両手(りょうて)を前に出して、「この手で、その女の首(くび)をしめたんです」
「しかしなぁ」刑事はため息(いき)をつき、「お前の言った場所(ばしょ)に死体(したい)なんかなかったぞ」
「そんなはずありません。だって、ほんとに俺(おれ)、やったんですから」
「じゃ訊くが、その女とはどこで知り合ったんだ」
「どこって…」男は口ごもった。「それは、あの…」
「警察(けいさつ)もヒマじゃないんだぞ。そんないい加減(かげん)なことで世話(せわ)やかすなよ」
「待って下さいよ。言います、言いますから」男は刑事にすがるように話しはじめた。
「公園(こうえん)にいたら、向(む)こうから話しかけてきたんです。遊(あそ)ばないかって…」
「それで」刑事は先を促(うなが)した。
「それで…。変だなって思ったんですよ。あんな奇麗(きれい)な人が、俺なんか相手(あいて)にするはずないし。だから俺、断(ことわ)ったんですよ。そしたら……。俺、首をしめてました」
「もう帰っていいよ。お前の作り話に付き合ってられるか」
「そんな。また女が近づいて来たらどうするんですか? もう、殺したくないんです!」
<つぶやき>この男の手にかかると、生まれ変わることができる。そんな噂(うわさ)があるとか…。
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