みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0175「ナンパなの?」

2018-03-08 19:22:11 | ブログ短編

 さよりは友達(ともだち)のホームパーティーに来ていた。どうしてもって誘(さそ)われたのだ。彼女は内気(うちき)でおしゃべりも苦手(にがて)。こんな華(はな)やかなところでは、どうしたらいいか分からず隅(すみ)の方で小さくなっていた。そんな彼女の横(よこ)に男性が座(すわ)り込んだ。彼女はビクッと身体(からだ)をこわばらせる。
「ねえ、ここいいかな?」彼は赤みが差(さ)した顔に笑顔(えがお)を浮かべて訊(き)いた。
「あっ…、はい」彼女は消(き)え入るような声で答えた。
「今度、ハイキングの計画(けいかく)があるんだけど、君も行かない?」
「えっ…。あ、私は――」彼女は少し困(こま)った顔をしたが、「酔(よ)っぱらってるんですか?」
「うーん、ちょっとね。でも、全然(ぜんぜん)そんなんじゃないから。俺(おれ)は…」
 その時だ。離(はな)れたところから彼を呼ぶ声がして、ほかの男性が近寄って来て言った。
「おい、タカシ。また、ナンパか? お前もこりない奴(やつ)だな」
「バカ、違(ちが)うよ。そんなんじゃないって」彼はそう言うと、その友だちを追い払(はら)った。そして、さよりの方に向き直って、「ほんと、違うから。あいつ、酔っぱらってて、いい加減(かげん)なこと言ってるだけだからさ。これは、ナンパなんかじゃなく…」
「あの、いいです。私、そういうのは…」彼女は目をそらして言った。
「じゃあさ…。君は、何がしたい? 俺、付き合うから。何でも言ってよ」
 さよりは彼の真意(しんい)が分からず、この場から逃(に)げ出したい気持ちで一杯(いっぱい)になっていた。
<つぶやき>少しずつでいいんです。自分の世界を広げてみませんか? 何か変わるかも。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする