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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1281「有言実行」

2022-07-25 17:38:59 | ブログ短編

 有言実行(ゆうげんじっこう)…、この言葉(ことば)は良いこととして使われている。だが、彼の場合(ばあい)はちょっと違(ちが)っているようだ。どういう訳(わけ)か、彼が言ったことがすべて現実(げんじつ)になってしまうのだ。だから、下手(へた)なことを言ってしまうと、とんでもない事態(じたい)になることも――。
 彼は、普段(ふだん)は気をつけて余計(よけい)なことは言わないようにしていた。だが今日は、ちょっと嫌(いや)なことがあったみたいで、会社(かいしゃ)の同僚(どうりょう)と飲(の)みに行って深酒(ふかざけ)をしてしまった。
 翌朝(よくあさ)、彼は出社(しゅっしゃ)すると、昨夜(ゆうべ)一緒(いっしょ)に飲んでいた同僚に恐(おそ)る恐る訊(き)いてみた。すると、その同僚は彼を隅(すみ)の方へ連(つ)れて行って小声で言った。
「どういうことだよ。お前、部長(ぶちょう)が左遷(させん)されるの知ってたのか?」
 どうやら、彼は部長を飛(と)ばしてやると口走(くちばし)っていたようだ。彼は頭(あたま)をかかえて、
「あの…。それで、他(ほか)に何か…。変(へん)なこと言わなかったか?」
 同僚はニヤニヤしながら、「お前、あずさちゃんに告白(こくはく)してやるって…。まぁ、酔(よ)っ払(ぱら)った勢(いきお)いだろうけど、見直(みなお)したぞ。ちゃんと、俺(おれ)が見とどけてやるから。がんばれっ」
 彼は絶望(ぜつぼう)したように思わず呟(つぶや)いた。「そ、そんなことまで……」
 確(たし)かに、彼は彼女の…あずさちゃんのことが好きではあった。でも、それはまだ恋(こい)というには――。そこへ、当(とう)のあずさちゃんが出社してきた。彼女は、彼を見つけると駆(か)け寄(よ)ってきて、いきなり彼の手をつかんで――。
<つぶやき>そのあとは? もしこんな能力(のうりょく)があったら、あんなことや、こんなことも…。
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