みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1282「ドジな女の子」

2022-07-27 17:39:08 | ブログ短編

 彼女は見た目はすごく可愛(かわい)いんだけど、どこか間抜(まぬ)けな感(かん)じの女の子。子供(こども)の頃(ころ)から、<残念(ざんねん)よねぇ>と言われ続(つづ)けていた。だからなのか、いつもわざと地味(じみ)なダサい服(ふく)を着て目立(めだ)たないようにしていた。見た目と違(ちが)いすぎる自分(じぶん)が嫌(きら)いだったのだ。
 大人(おとな)になってもそれは変わらなかった。彼女は何とか就職(しゅうしょく)できたのだが、仕事(しごと)がなかなか覚(おぼ)えられなくて失敗(しっぱい)ばかりしていた。その度(たび)に上司(じょうし)に怒(おこ)られ、同僚(どうりょう)からは――。
 そんな彼女に近づいてくる男がいた。仕事で知り合った人なのだが、何かにつけて話しかけてくるようになった。仕事がらみなので、彼女は当(あ)たり障(さわ)りのない会話(かいわ)でかわしていた。だが、男の方はぐいぐいと距離(きょり)を縮(ちぢ)めてくる。今日もまた男が話しかけてきて、
「ねぇ、君(きみ)はどうしてそんな地味な服を着てるのかなぁ? 君だったらもっと――」
「あの、わたしは…これが好(す)きなんです。だから…」
「この間(あいだ)、君が友だちにアドバイスしてるの見かけたんだけど、とても的確(てきかく)だったよ」
「あの…。何で、そんなこと…。まさか、わたしのこと――」
「違(ちが)う、違う。俺(おれ)は、ストーカーじゃ…。たまたまだよ。――それに、その眼鏡(めがね)…。かけない方がいいと思うよ。ぜんぜん似合(にあ)ってない。それと…」
 彼女は怒って、「もう、いい加減(かげん)にして! わたしのことはほっといて」
 男は、すっと彼女の顔から眼鏡を抜(ぬ)き取って、「やっぱり、こっちの方がいいよ」
 男の顔が、彼女の目の前に迫(せま)ってくる。彼女は思わず、男を突(つ)き飛(と)ばした。
<つぶやき>この二人のドラマはどんな展開(てんかい)を見せるのか…。それは、誰(だれ)にも分からない。
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