みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1280「しずく171~盛られる」

2022-07-23 17:40:23 | ブログ連載~しずく

 どこかのレストランなのか…。並(なら)んだテーブルには客(きゃく)の姿(すがた)はなかった。ただひとつだけ、灯(あか)りがついているテーブルがあった。そこに黒岩(くろいわ)が座(すわ)っている。
 黒岩は部下(ぶか)の男に小声(こごえ)で言った。「それで、始末(しまつ)したんだろうな?」
「それが、装置(そうち)との接続(せつぞく)が途切(とぎ)れてしまって…。申(もう)し訳(わけ)ありません」
「まぁいい。あいつら、姉妹(しまい)そろって使いものにならなかったなぁ」
 そこへ、どこからともなく黒いマントを着(つ)けた女が現(あらわ)れた。その黒ずくめの女は、黒岩に向かってため口で言った。
「あの二人と遊(あそ)んできちゃった。でも、あたしより弱(よわ)くて、がっかりよ」
 黒岩は不機嫌(ふきげん)になり、「また勝手(かって)なことを…。メイサ、お前はおとなしく洞窟(どうくつ)で待(ま)っていろ。必要(ひつよう)なときは、ちゃんと呼(よ)んでやるから」
「だって、つまんないんだもん。別にいいじゃない。あなたの邪魔(じゃま)はしないわ」
 メイサと呼ばれた女はどこかへ消(き)えてしまった。黒岩は部下に言った。
「じゃあ、こいつを連(つ)れて行ってくれ。あの装置(そうち)にかけて、能力(ちから)を最大(さいだい)にさせるんだ。それが終(お)わったら、洗脳(せんのう)して、チップを埋(う)め込んでおけ」
 黒岩の向かいの席(せき)を見ると、そこには日野(ひの)あまりの姿があった。食事(しょくじ)の中に薬(くすり)でも入れられていたのか、ぐったりと椅子(いす)にもたれて眠(ねむ)り込んでいた。
<つぶやき>この女が、あの幻覚(げんかく)を作ってたんだね。あまりを救(すく)い出すことはできるのか?
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