みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1182「上村くん2」

2022-01-05 17:48:10 | ブログ短編

 優美(ゆみ)は青年(せいねん)に近寄(ちかよ)ると、頭を下げて、「この間(あいだ)は…ありがとうございました」
 青年は、何のことなのか分からないのか素(そ)っ気なく、「どうも…」と言って店の奥(おく)へ――。
 すかさず香里(かおり)か駆(か)け寄って、「ねぇ、どういうこと。何で上村(かみむら)くんのこと知ってるの?」
 数日前のことだ。通(かよ)っている大学(だいがく)の近くで、同じ大学の男子(だんし)にしつこく付きまとわれていたのを助(たす)けてもらったのだ。香里は憤慨(ふんがい)したように言った。
「何で、あたしに言ってくれないの? どこのどいつよ。あたしがぶん殴(なぐ)ってやる!」
 店長(てんちょう)がなだめるように、「まぁまぁ。それは、ちょっとまずいでしょ…」
 香里は急(きゅう)に話題(わだい)を変えて、「で、どうなったの? それから…」
 優美は席(せき)に座(すわ)ると、「それからって? それだけよ。まさか、こんなところで会えるなんて思ってもいなかったわ。ちょっと…、ビックリしちゃった」
 香里も横(よこ)に座ると、「へぇー、そうなんだぁ。あいつ、そんなこともするんだねぇ」
「香里って、あの人のこと、よく知ってるの?」
「もちろんよ。だって、一緒(いっしょ)にバイトしてたからねぇ。ちょっと変わってるっていうか…。無愛想(ぶあいそう)なのよねぇ、店長みたいに…。でもさ、悪(わる)い人じゃないわよ」
「そうなんだ。よかった。でさ…、誰(だれ)か…付き合ってる人とか、いるのかなぁ?」
<つぶやき>おやおや、これは一目惚(ひとめぼ)れしちゃったのかな? さて、どうなることやら…。
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