朝、友達(ともだち)から遊(あそ)びに来ないかと誘(さそ)われた。今日は休(やす)みだし、とりたてて他(ほか)にすることもなかったので出かけることにした。電話(でんわ)を切ってふと考えた。そういえば、あいつの家ってどこだったかなぁ? 私はどうしたものかと頭を掻(か)いた。
いつまでも考えていたって仕方(しかた)がない。私は、とりあえず出かけることにした。そして、歩きながら考えてみた。あいつの家に行ったことってあったかなぁ? いくら思い出そうとしても、思い当(あ)たらない。これは、どういうことなんだ?
私は、いつの間(ま)にか電車(でんしゃ)に乗っていた。これはいつもの習慣(しゅうかん)だ。仕事(しごと)に行くときいつも利用(りよう)しているからだろう。さて、どこで降(お)りればいいんだ?
いつの間にか、私はうとうとと眠(ねむ)ってしまった。目が覚(さ)めたとき、どこかの駅(えき)に着いていた。私は思わず立ち上がり、電車を駆(か)け降りた。これも、いつものこと……。
そこは初めて降りた駅だった。改札(かいさつ)を出て、これからどうしたものかと考えた。これはもう電話をするしかない。私はスマホを…。ここで気がついた。スマホを忘(わす)れたことに…。
もう、こうなったら諦(あきら)めるしかない。せっかくこんなとこまで来たんだ。駅の近くを散策(さんさく)して帰ろうと思った。駅前の商店街(しょうてんがい)を通ってしばらく行くと住宅地(じゅうたくち)に出た。何気(なにげ)なく表札(ひょうさつ)を見ながら歩いて行くと、友達と同じ名字(みょうじ)の家を見つけた。
まさか、そんなことあるわけが…。その家の玄関(げんかん)が開くと、その友達が顔を出した。
<つぶやき>これは奇跡(きせき)なのか…。いや、単純(たんじゅん)に思い出せなかっただけなんじゃないの?
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