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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1181「上村くん1」

2022-01-03 17:54:32 | ブログ短編

 そこは古風(こふう)な感じの喫茶店(きっさてん)だった。優美(ゆみ)は、友達(ともだち)の香里(かおり)との待ち合わせで初めて訪(おとず)れた。店内(てんない)に入ると、そこかしこに古(ふる)めかしい物(もの)たちが煩雑(はんざつ)に飾(かざ)られている。優美は呆気(あっけ)にとられて立ちつくしていた。それを見つけた香里が駆(か)け寄ってきて、
「ああ、優美。道に迷(まよ)わなかった? ここって分かりづらいでしょ」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ」香里はあらためて店内を見回(みまわ)して、「ここ、すごいお店ね」
「ああ、店長(てんちょう)の趣味(しゅみ)なのよ。変(へん)な物ばかり集(あつ)めてるの。こっちに座(すわ)ろう」
 香里は、優美とカウンターの席(せき)に座ると、目の前でムスッとしている店長を紹介(しょうかい)した。
「これが、変わり者の店長でヒロさん。…もう、店長。愛想(あいそ)よくしないとダメでしょ」
 優美が慌(あわ)てて、「香里、そんなこと言っちゃ…」
「平気(へいき)よ。あたし、このお店でバイトしてたの。だから、家族(かぞく)みたいな感じなんだ」
 店長はぎこちなく笑(わら)うと、「いらっしゃいませ。いつも、香里がお世話(せわ)になって…」
 優美は座り直(なお)して、「いえいえ、こちらこそ…。お世話になってます」
 香里は笑いながら、「もう、いやだ。何やってるのよ。笑わせないで…」
 店長はいつもの顔に戻(もど)って注文(ちゅうもん)を訊(き)くと、香里がそれに答(こた)えて、
「ここのコーヒー、とっても美味(おい)しいのよ。店長、いつものやつ二つね」
 ――お店のドアが開(あ)いて、買い物袋(ぶくろ)を下(さ)げた青年(せいねん)が入ってきた。青年はお客(きゃく)の二人に「いらっしゃいませ」と声をかけた。優美は、その青年の顔を見て思わず立ち上がった。
<つぶやき>えっ、どうしちゃったの? 優美は、この青年のこと知っているのかなぁ?
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