女はまた不敵(ふてき)な笑(え)みを浮(う)かべて、「もちろんお金のためよ。あなたを連れて行けば、倍(ばい)になるかもね。さぁ、お遊(あそ)びはお終(しま)いよ。一緒(いっしょ)に来てもらうわ」
「それは難(むずか)しいわ」月島(つきしま)しずくは困(こま)った顔をして、「私、他(ほか)にもやることあるし…」
「なら、仕方(しかた)ないわね。死(し)んでも知らないわよ」
狭(せま)い部屋(へや)で、二人の戦(たたか)いが再開(さいかい)した。二人の力は均衡(きんこう)しているように見えた。しずくが女のナイフを叩(たた)き落とすと、女はベッドの上の銃(じゅう)に向かった。しずくは能力(ちから)を使って銃を手の中に引き寄(よ)せると、女に向かって銃を構(かま)えた。女は悔(くや)しそうに言った。
「ふん、やるじゃない。でも、あなたにその銃が撃(う)てるかしら?」
しずくは、銃口(じゅうこう)を壁(かべ)に向けると、銃を連射(れんしゃ)した。途端(とたん)、外(そと)が騒(さわ)がしくなった。無線(むせん)からは権藤(ごんどう)の声が響(ひび)いてきた。「何があった。報告(ほうこく)しろ! 誰(だれ)だ、発砲(はっぽう)したのは!」
廊下(ろうか)から数人の足音(あしおと)が聞こえてきた。女は負(ま)け惜(お)しみに言った。
「まったく、運(うん)のいい娘(こ)ね。次はないわよ。必(かなら)ず仕留(しと)めてやるから。覚悟(かくご)しなさい」
女は忽然(こつぜん)と消(き)えてしまった。しずくは一息(ひといき)つくと、銃をベッドの上に放(ほう)り投(な)げた。廊下の足音はすぐそこまで来ていた。しずくも姿(すがた)を消すと、扉(とびら)が開いて銃を構えた男たちが部屋に飛び込んできた。権藤は荒(あら)らされている部屋を見て言った。
「この部屋で何があったんだ?」権藤は部下(ぶか)に言った。「この銃の持ち主を調(しら)べるんだ」
<つぶやき>能力者(のうりょくしゃ)が相手(あいて)だと、どう戦えばいいのかな? これは難題(なんだい)かもしれないね。
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