ある休日(きゅうじつ)の早朝(そうちょう)。パパが家族(かぞく)みんなを叩(たた)き起こして言った。
「今から二十四時間、特別訓練(とくべつくんれん)を始める。これは、災害(さいがい)に備(そな)えての特訓(とっくん)だ」
娘(むすめ)が眠(ねむ)そうに、「もう、何なの…。そんなの聞いてないよ」
「いいか、まなみ。災害はいつ起こるか分からない。では、状況(じょうきょう)を説明(せつめい)する」
ママが面倒(めんど)くさそうに、「そういうのは、前もって言っといてよ。こっちにも予定(よてい)が…」
「ママ。地震(じしん)はこっちの都合(つごう)なんて考えてくれないぞ。今、震度(しんど)7の地震が発生(はっせい)した。電気(でんき)、水道(すいどう)、ガスも使えなくなっている。さあ、二十四時間、我々(われわれ)だけで生き残(のこ)るぞ!」
ママが不機嫌(ふきげん)になって言った。「そんなのムリよ。朝ごはんはどうするのよ?」
娘も同調(どうちょう)して、「もう、やってられないわ。あたし、しらないから…」
パパはしたり顔で言った。「そんなこと言ってられるかなぁ。水道は止めてあるから、トイレは使えないぞ。それに、お前のスマホはここにある」
パパは娘のスマホを鍵(かぎ)のかかる引出(ひきだし)に入れた。こうなっては、パパの指示(しじ)に従(したが)うしかない。パパはテキパキとみんなに指示を出した。
「ママは食べられるのもを集(あつ)めてくれ。まなみは簡易(かんい)トイレの準備(じゅんび)。そして、パパは――」
娘は口を尖(とが)らせて言った。「そんなの…どこにあるのよ?」
「ママ。前に買っといたのあったよな。あれって、どこへしまったかなぁ?」
<つぶやき>災害はいつ起こるか分かんないけど。訓練の前に準備が必要(ひつよう)だと思いますよ。
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