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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0204「恋は化学反応」

2018-04-21 19:22:44 | ブログ短編

「君(きみ)って、おもしろい娘(こ)だね」合コンの帰り道、敏也(としや)は言った。かすみは歩(ほ)を早める。
「ちょっと、待ってよ。そんなに急(いそ)がなくても…」敏也は追(お)いかける。
 かすみはいきなり立ち止まり振(ふ)り返った。危(あや)うく、二人はぶつかりそうなくらい急接近(きゅうせっきん)。
「何かご用(よう)ですか?」かすみは冷(つめ)たく言い放(はな)つ。「もう、ついてこないで下さい」
「いや、別に…そんなつもりは。僕(ぼく)も、帰り道はこっちなんだよね」
 かすみは敏也が言い終わらないうちにまた歩き出した。敏也は彼女の横に駆(か)け寄って、
「あのさ、君みたいな娘(こ)が合コンに来るなんて…」
「別に、私は行きたくて行ったんじゃありません。友達から人数が足りないと言われて」
「そうなんだ。なるほど、なっとく…」
「私、恋(こい)とかそういう下(くだ)らないことはしませんから。付き合おうなんて思わないで下さい。恋なんて、ただの化学反応(かがくはんのう)です。一目惚(ひとめぼ)れは錯覚(さっかく)にすぎません。男なんて、子孫(しそん)を残(のこ)すために生存(せいぞん)しているだけです。まして、結婚(けっこん)なんて…」
「やっぱり僕、君に一目惚れしたみたいだ。君といると、何か面白(おもしろ)くなりそう」
「あの。私の話し聞いてます? 私はあなたなんか…」かすみは彼と目が合い一瞬(いっしゅん)見入ってしまった。そしてぶつぶつと呟(つぶや)いた。「これは化学反応よ。私は恋なんか、恋なんか…」
<つぶやき>恋はするものじゃなく落ちるもの。理屈(りくつ)で説明(せつめい)できないから面白いのかも。
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