みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0190「将来の夢」

2018-04-02 19:02:49 | ブログ短編

 学校(がっこう)の宿題(しゅくだい)として、将来(しょうらい)の夢(ゆめ)について作文(さくぶん)を書くことになった。僕(ぼく)は今までそんなこと考えたこともなかった。大きくなったら何をやりたいか、そんなこと分かるわけがない。
 でも、他の子たちはいろんなことを書くんだろうなぁ。耕作(こうさく)んちは八百屋(やおや)だから商売(しょうばい)を継(つ)ぐだろうし。翔太(しようた)は勉強(べんきょう)ができるから学校の先生(せんせい)かな。太郎(たろう)は目立(めだ)ちたがり屋(や)だから宇宙(うちゅう)飛行士って書くに決まってる。はるかはブスのくせにモデルになるって騒(さわ)いでたし――。
 僕は何にしようかなぁ? サラリーマンとかそんなんじゃつまんないし。ここはやっぱり、大きくいっといた方がいいのかもしれないな。どうせ、夢なんだし。
 僕は原稿用紙(げんこうようし)に向かって、さらさらと鉛筆(えんぴつ)を走(はし)らせた。〈世界せいふく〉
 僕は素晴(すば)らしい思いつきにほくそ笑(え)んだ。こんなこと誰(だれ)も考えつかないだろう。僕は、世界せいふくをしたら何をやりたいか、思いつくままに書きつらねていった。
 まず、学校の宿題はやめさせる。それに、お小遣(こづか)いは今の三倍に増(ふ)やす。それから…。
 その時、お姉ちゃんが部屋に入ってきて言った。
「ねえ、何やってるのよ。ちゃんと片付けてって言ったでしょ。ここは、あたしの場所(ばしょ)なんだから」
 お姉ちゃんが出て行ってから、僕は新たに一つ付(つ)け加えた。
〈僕だけの広い部屋を用意(ようい)させる〉
<つぶやき>子供は無邪気(むじゃき)にいろんな夢を話します。でも、大人になると夢を語るのが…。
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