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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0201「夢想のすきま」

2018-04-17 19:00:52 | ブログ短編

 それは突然(とつぜん)のことだった。目の前にイケメンの青年(せいねん)が現れたと思ったら、愛(あい)してるとささやかれ…。気がつけば彼の腕(うで)に抱(だ)かれて、口づけを交(か)わしていた。
 絵理子(えりこ)は薄(うす)れる意識(いしき)のなか思った。こんなことあり得(え)ないわよ。だって、知らない男性よ。抱かれちゃってるのよ。それに、キスまでしてるなんて。
 絵理子は彼から離(はな)れようと必死(ひっし)にもがいた。でも、全然(ぜんぜん)力が入らない。彼の腕はどんどん身体(からだ)をしめつける。彼女は自分(じぶん)の身体が深(ふか)い沼(ぬま)に沈(しず)んでいくのを感じた。次の瞬間(しゅんかん)、彼女はベッドから転(ころ)がり落ちていた。
「いてっ…。もう…」彼女は状況(じょうきょう)が把握(はあく)できなかった。目の前には床(ゆか)があり、まるで知らない場所にいるように感じた。彼女は目をこすりながら、ゆっくり起き上がって、
「えーっ、何なのよ……」
 意識がハッキリしてくると、彼女はため息(いき)をついた。
「あーっ、忙(いそが)しすぎるせいよ。来週(らいしゅう)、絶対(ぜったい)に休暇(きゆうか)とるから。もう限界(げんかい)よ」
 彼女は自分を奮(ふる)い立たせるように大きく伸(の)びをした。そして、目覚(めざ)まし時計を見た。
「あっ! もうこんな時間じゃない。遅刻(ちこく)しちゃうわ」
 絵理子は大急(おおいそ)ぎで身支度(みじたく)を調(ととの)えると、あたふたと部屋を飛び出した。彼女が出て行ったあとには、いろんなものが散乱(さんらん)し、足の踏(ふ)み場もなかった。そして、ベッドには――。
<つぶやき>忙しすぎると心のバランスも崩(くず)れちゃうから。そこへ忍(しの)び寄る怪(あや)しい影(かげ)…。
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