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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0202「ゆれる心」

2018-04-18 19:07:16 | ブログ短編

「お前は、何度問題(もんだい)を起こせば気が済(す)むんだ」担任(たんにん)の梅沢(うめざわ)は恵理(えり)を睨(にら)みつけて言った。
「関係(かんけい)ねえよ。うっせぇなぁ」恵理も負(ま)けずに睨み返す。
 梅沢は隣(となり)にいる妙子(たえこ)に言った。「相沢(あいざわ)。学級委員(がっきゅういいん)のお前まで、何してたんだ?」
「私は…」妙子は声をつまらせた。
「こいつは関係ねえよ」恵理は妙子をかばうように、「あたし一人でやったんだ」
「当たり前だ。相沢はな、成績(せいせき)も優秀(ゆうしゅう)で、お前みたいな不良(ふりょう)とは違(ちが)うんだ。他校(たこう)の生徒(せいと)と喧嘩(けんか)するような、そんな…」
「違います!」妙子は声を張(は)りあげた。「神田(かんだ)さんは、悪くないんです。あれは…」
 理恵は妙子の言葉(ことば)をさえぎるように、「退学(たいがく)でも何でもいいよ。こんな学校いつでも…」
「私も、同じ処分(しょぶん)にして下さい」妙子は担任の前に出て、意(い)を決して言った。
「相沢…。なに言ってるんだ? そんなことをしたら…」
「先生。私も喧嘩をしました。それは、間違(まちが)いありませんから」
「ばっかじゃねぇのか」理恵は妙子の胸(むな)ぐらをつかみ、「お前みたいな奴(やつ)、大嫌(だいきら)いなんだよ。さっさと、自分の居場所(いばしょ)に戻(もど)りな。二度と顔(つら)見せるんじゃねえ」
 言葉とは裏腹(うらはら)に、理恵の目には友を思う優(やさ)しさがこもっていた。
<つぶやき>若い頃はどうしようもない感情で心がクチャクチャになる。でも、本当は…。
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