ICTというのは、「Information Communication Technology」の略語。
直訳すると「情報伝達技術」だが、ICTを活用することで、お魚は美味しく、
水産業はイキイキとするらしい。
カキと言えば広島で、そりゃ東北のカキも美味しいわけだが、
カキを美味しくするのは、森林のチカラなのだ。
広島のカキ生産対策協議会が2016年2月17日、広島カープのキャンプ地である
宮崎・日南市の天福球場を激励に訪れ、カキ20kg、むき身100個を差し入れ、
緒方監督が優勝祈願の激励を受けた1)。
カキは広島の名産で、栄養豊富なため「海のミルク」とも言われている。
日本のカキ養殖生産量の約60%が広島産で占められている。
広島県のカキ生産量は全国1位であり、2位の宮城県の3倍以上。
昨年、広島カープが久しぶりの優勝に向けて首位を走っていた時、
これはカキの栄養のおかげかもしれない、などと言われたらしい。
広島湾はカキの養殖で有名であるが、広島県は瀬戸内海に面し、波が比較的おだやかで、
カキのえさとなる植物プランクトンが豊富に育つ。
中国山地には豊かな森林があり、腐葉土にたまった雨水が太田川を通って海に運ばれる際、
窒素やリン、ケイ酸などの豊かな栄養塩を供給する。
しかし、近年、太田川の上流に発電や治水を目的としたダムが作られ、川岸がコンクリートで
固められたりすることで、山も川も荒れ、こうした栄養塩を供給する働きが損なわれるように
なってきた。
そのことに着目したのが「漁民の森づくり」活動であり、1995年にスタートし、2005年までの
10年間で2万本近くのヒノキ、ヤマザクラ、ケヤキなどを植樹してきたということだ。
豊かな森林を育成することで、海も豊かになる。
そして豊かな海が、養殖のカキを美味しくするのである。
カキを美味しくするICTのセミナーが開催される。
"未来へのバイオ技術" 勉強会「ICT活用は水産業の救世主となるか?」
ICTを活用して、我が国の水産業を今一度成長産業にすべく奮闘する2名の研究者に、研究、事業の内容と熱い思いを紹介いただく。
2017年10月23日(月) 15:00~17:00 終了後、交流会あり
会場 (一財)バイオインダストリー協会
定員 60名
主催 (一財)バイオインダストリー協会
協力・協賛
(公社)日本生物工学会、(公社)日本農芸化学会、(公社)日本水産学会、国際漁業学会(いずれも予定)
詳しくは: https://ssl.alpha-prm.jp/jba.or.jp/pc/activitie/tip_biotechnology/guidance/002670.html
「ICT活用による現場からイノベーション創出!」
山本 圭一 氏((株)NTTドコモ 法人ビジネス本部 第一法人営業部 第六営業・第一担当課長)
東日本大震災の復興支援をきっかけに昨年3月から宮城県東松島のカキ養殖とノリ養殖、昨年末から有明海のノリ養殖でもICTブイを活用した実証実験を実施した。ICTブイ本体に装備したセンサが刻々と変化する海水温と比重(塩分濃度)を1時間単位で測定し、そのデータをクラウドサーバにアップロード。養殖業者は自らのスマートフォンで、いつでもどこでも海の状況を把握することができる。今まで見えなかったものが手元のスマートフォンで簡単に見ることができるようになったため、作業タイミングの最適化や病気等の原因究明の貴重なデータとして活用が期待されている。
「宇宙データの活用で狙うICT×水産養殖」
藤原 謙 氏(ウミトロン(株) 代表取締役)
演者は元JAXAの研究員で、小型衛星の開発を行い、三井物産にて衛星データを用いた精密農業サービスの海外展開にも従事していた経歴の持ち主である。水産養殖向け宇宙データサービスの会社ウミトロンを設立し、人工衛星と、あらゆるものがネットにつながる「IOT」を活かした魚の養殖技術を開発している。 ウミトロンは、養殖事業者の3つの悩み(魚の価格変動、生産コストの6割から7割を占める高価な餌代、赤潮発生の脅威)のうち、餌代と赤潮をデータによって解決する。宇宙から海面温度とプランクトン分布のデータを取得し、海において餌やりの緊急停止を行うことで、赤潮の早期発見、早期対処を行う。養殖場に設置したセンサーで魚が餌を食べる動きや水温などを測定し、データ解析で給餌の量とタイミングを最適化する。現在衛星データとしては、公開データに基づくデータを活用しているが、今後、ほぼリアルタイムでの海洋データが手に入るようになれば、世界で取得したローカルデータと宇宙のデータを組み合わせることにより、宇宙のデータで魚を育てることができると考えている。
参考文献
1)http://www.nikkansports.com/baseball/news/(日刊スポーツ)
2)http://kaki-hompo.com/about.html
3)広島漁連ホームページ:http://www.hs-gyoren.jp/ryomin.html