徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル』(講談社文庫)

2018年12月13日 | 書評ー小説:作者カ行

色シリーズ第5弾の『ST 警視庁科学特捜班 黒の調査ファイル』は犬のごとく鼻が利く第一化学担当にして武道の達人の黒崎勇治が活躍するエピソードです。

舞台は新宿歌舞伎町。携帯のワンクリック詐欺に遭った役者志望の男が、復讐するために仲間を集めます。その中に美作竹上流の者がおり、彼が黒崎をこの計画に引き込みます。

一方STは歌舞伎町で起きている原因不明の火事の原因究明のために出動します。その裏には中国マフィア同士の抗争があるようで、所轄の強犯のほか組対も捜査に加わりますが、両者の組織的摩擦が浮き彫りになります。

また、火事の前には怪奇現象が起こるらしいが、それと火事の発生とはどう関係するのか翠が主に調査します。

さて、詐欺の復讐のために中国マフィアの大物の名前を騙ることと、火事の捜査はどのようにつながっていくのか。黒崎の無口だけれどもかなりの策略家ぶりが発揮されます。

マフィアがらみの話ということで、かなり緊迫感に溢れたエンタメ性の高いエピソードです。


書評:今野敏著、『蓬莱 新装版』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『イコン 新装版』講談社文庫

書評:今野敏著、『隠蔽捜査』(新潮文庫)~第27回吉川英治文学新人賞受賞作

書評:今野敏著、『果断―隠蔽捜査2―』(新潮文庫)~第61回日本推理作家協会賞+第21回山本周五郎賞受賞

書評:今野敏著、『疑心―隠蔽捜査3―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『初陣―隠蔽捜査3.5―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『転迷(隠蔽捜査4)』、『宰領(隠蔽捜査5)』、『自覚(隠蔽捜査5.5)』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『去就―隠蔽捜査6―』&『棲月―隠蔽捜査7―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『廉恥』&『回帰』警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ(幻冬舎文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版>』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版>』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 青の調査ファイル』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル』(講談社文庫)


書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル』(講談社文庫)

2018年12月13日 | 書評ー小説:作者カ行

色シリーズ第4弾の『ST 警視庁科学特捜班 緑の調査ファイル』は結城翠が活躍するエピソードです。

新東京フィルとのコンサートを控えている人気バイオリニスト柚木優子の持つ1億円の名器ストラディバリウスが盗難に会い、その社会的影響の大きさから捜査本部が立ち上げられ、STも出動することになります。バイオリンはコンサートのリハーサルの際にすり替えられたらしい。出動したST翠の異常な聴覚に、オーケストラの指揮者・辛島は興味を示し、もしかしてラブロマンスに発展するかも?というような展開があります。

盗難の捜査が難航するなか、コンサートマスターが柚木優子のホテルの部屋で殺されてしまいます。彼は辛島とともにコンサートの打ち合わせに優子の部屋に来ており、優子は途中で取材が入っていたので部屋を出て、辛島も出て行った後に殺されたようだった。部屋には内側からチェーンがかけれれており、密室のようになっていました。

盗難と密室殺人のトリックは青山翔が謎解きしますが、翠はその驚異的な聴覚を持ってなぜバイオリンがすり替えられたのかという動機の方に迫ります。彼女の犬笛すら聞き分ける超人的な聴覚を持つが故の苦悩も描写されているのが印象的です。

捜査一課のST連絡役ということになっている菊川がクラシックファンであるという意外な一面も。辛島や優子の前で緊張しているところがちょっとかわいい感じです。

また、STにも反感を持ち、音楽にも興味を持ってなさそうな所轄の盗難担当刑事が捜査の間に優子の生演奏を聴いて「心を盗まれた」と言い張り、コンサートに招待させるあたりがなんというか、おかしいです(笑)


書評:今野敏著、『蓬莱 新装版』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『イコン 新装版』講談社文庫

書評:今野敏著、『隠蔽捜査』(新潮文庫)~第27回吉川英治文学新人賞受賞作

書評:今野敏著、『果断―隠蔽捜査2―』(新潮文庫)~第61回日本推理作家協会賞+第21回山本周五郎賞受賞

書評:今野敏著、『疑心―隠蔽捜査3―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『初陣―隠蔽捜査3.5―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『転迷(隠蔽捜査4)』、『宰領(隠蔽捜査5)』、『自覚(隠蔽捜査5.5)』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『去就―隠蔽捜査6―』&『棲月―隠蔽捜査7―』(新潮文庫)

書評:今野敏著、『廉恥』&『回帰』警視庁強行犯係・樋口顕シリーズ(幻冬舎文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版>』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版>』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 青の調査ファイル』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル』(講談社文庫)

書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 黄の調査ファイル』(講談社文庫)