徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:今野敏著、『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版>』(講談社文庫)

2018年12月10日 | 書評ー小説:作者カ行

『ST 警視庁科学特捜班 エピソード1<新装版>』は、多様化する現代犯罪に対応するため新設された警視庁科学特捜班、略称STに属する特殊能力を持つ5人のスペシャリストの活躍を描くシリーズ第1弾です。

法医学担当の極端な女嫌い赤城左門、第一化学担当の武道に優れ、超人的な嗅覚を持つ黒崎勇治、第二化学担当で曹洞宗僧侶でもある山吹才蔵、文書鑑定担当の美青年にして「秩序恐怖症」の青山翔、物理担当の超人的聴覚を持つ美人でナイスバディの結城翠の5人は科捜研でも有能な変わり者たち。彼らを率いるのは若いキャリアの百合根友久警部。体育会系の空気にいまいち馴染めず、ST班長としての役割にも苦悩しています。

このキャラクター設定だけでもかなり面白いですが、彼らの交わす珍妙なやりとりも相当おかしいです。

中国人ホステスが2人、中南米系娼婦が1人中野区管轄内で殺害され、最初は淫楽殺人と見られていましたが、3人ともマフィアの愛人であったこともあり、マフィア同士の報復殺人の線が浮かび上がりますが、青山翔はそうした捜査本部の流れに異を唱え、プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾を指摘し、単独犯による「連続殺人」である可能性を示唆します。

テンポよくストーリ展開するエンタメ性の高い作品です。


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