ピアノの先生の生活

ピアノ講師、ブライダル奏者としての日常と
その都度のはまりものへの情熱を綴るくだらな雑記

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2016-06-01 00:01:55 | 
石井好子さんの料理エッセイを読んだ。
出版されたのは2011年だが、収録されているエッセイ自体は1970年代のもの。

内容はまだまだ和食文化の日本に、留学経験豊富な彼女が西洋料理を紹介しているもの。
これが今ならオマール海老でもポトフでも、「ああ、ああいったものね」とわかるけど、
当時はそんなもの流通していなかったから夢のようだったろうなあ。想像もつかなかったかもしれない。
中に「セージやタイムといった香草は日本では手に入らないので、パセリで代用して下さい」という文があって
今や当たり前にあるハーブなんてそういえばちょっと前には存在しなかったよなーと思い知る。
他にもオリーブオイルとか、焼き立てのパンを売っているパン屋なんてのもいつの間に出来て増えたんだろうと思う。
文の中ではワインのことを「ぶどう酒」と言っていて、これがまた良い感じに食欲をかきたてられる。
ぶどう酒って言われると錫のゴブレットに入った飲物って感じがするんだよなー。
それにチーズなんて、石井さんの食生活の当時から考えると夢のような豊かさには驚かされる。
そして彼女のダイエット法が「少し太ったらご飯を抜いて魚と肉だけにする」というもの。
それって今流行りのローカーボじゃない!
すごい!すでに本能で見越していたのね。
そんな彼女が「その国の文化に見合った食生活が出来上がっているのだから、郷に入ったら郷に従え。
日本では和食が正しい」「最近の果物は見かけだけ美しくて中身がなくなった」などと嘆くのは
浮ついた西洋かぶれとは一線を画していて、読んでいて気持ちが良い。

石井さんは2010年にお亡くなりになっている。
石井さんという方は、シャンソン歌手だということくらいしか認識していなかったが、
調べてみたらすごい良いお家のお金持ちのお嬢さん。
なんでも祖父から続く政治家のお家で、子供の頃からピアノを習い芸大で声楽を習得。
戦後まもなくのヨーロッパに留学されているというからもう規格外のお金持ちだ。
行かなかった国はなかったようなもので、古いイランの話しなんてなかなか聞けない。
ちょっと積極的にエッセイ読んでみようかなと思ったり。