海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ガン多発の村で」と題する『ツァイト』紙の12月25日の記事。

2005年12月25日 | 環境問題
小見出し:リポーターは願い下げ。中国の警察国家は、環境破壊を隠そうとしている。目撃者の報告。
フアンメンイン発:チュウ・ユウロンは、やっとの思いで、彼女の小さな地所の中庭にあるきいきいきしむポンプを動かしている。すると蛇口から赤と白に塗った洗面器に毒の水がはねる。この水がこの56才の女を重病にしたのだ。彼女は、この水を毎日何年間も飲んだ。今、がん腫瘍が彼女の食道を塞いでいる。彼女は手で首とのどをなぜた。「私の孫が水を持ってきてくれても、私は飲むことができない。」
黒っぽい衣服を着、首に編んだ布を巻いて、チュウは、毎日古いポンプ式の井戸に体を引きずる。「私は汚染された水をカブにやり、それで下着を洗濯する。」現在は、飲んだり調理には、彼女は買い入れた水を使っている。
チュウは、彼女の夫と孫と、人々がこのあたりでは「がん村」と呼んでいる村に暮らしている。2400人の村民の5%に当る120人が過去15年の間に、食道がん、胃がん、大腸がんで死んだ。村の名前は、フアンメンインと言い、世界中で、化学薬品による環境汚染で人類の意識に記憶された水俣、セヴェソ、ボパールとどうように知られている。だが、中国の最も長く最も致命的な環境災害地は、巨大な国の真中の辺鄙な場所にある。このあたりの農民は、我慢強く、寡黙である。彼らは抗議もしないで死んでゆく。このあたりの警察は、目を光らせている。再三再四、警察はジャーナリスが村民と長い時間話せないように彼らを村から追い払った。今日では環境保護団体までが、コントロールが危険だから、村を訪問するなと警告する。
環境破壊について苦情を言う人は、中国では、一党支配国家の経済生長の命令に衝突する。役所は、「がん村」でだけ警察投入と隠蔽に賭けているのではない。先週の初め、人民警察は、香港からあまり遠くない東州村でデモをした漁民めがけて銃を発射し、少なくとも3人が殺された。役所は、5日後にようやく発砲を命令した警官を逮捕した。東州村でも、環境が問題になった。漁民は、火力発電所の建設による漁区の汚染を恐れたのだ。
「ガン村」の根本問題は、淮河の水の汚染である。その流域には、1億5千万の人間が暮らしている。危険は、中国内外の専門家によって、ずっと以前から知られていた。1990年代に既に北京政府は、こののために80億ドルの河川浄化計画を立てた。一時的に政府は、排水をろ過しないで河に流していた5千の工場を閉鎖した。しかし、それはあまり役に立たなかった。役所や工場にいる党幹部達は、政府が決めた高くつく環境基準を永く守る気がなかった。大抵の工場は、北京からきた視察官が現状にいる間だけ、閉鎖された。2001年、2003年、2004年に、国家環境局は、淮河の汚染度を5であると報告した。汚染度5とは、水が触れるのも危険だということを意味している。河川浄化の費用は、1千億ドルと見積もられた。
淮河の汚染問題はよく知られたが、河川汚染の犠牲者の運命は余り知られていない。「みんな淮河の環境破壊は知っているが、地方の住民がどんな目にあったかは誰も知らない。」と北京在住のグリーンピース事務局局長ロ・シェピンは言う。
ちょっとした幸運あれば、淮河の支流シェイイン河のほとりにあるガン村の住人に会うことは可能である。申告しないで旅行にでるのが最善である。警官と村のスパイの目を誤魔化すために、最も近くにある農民の住宅に身を隠して家族から家族へとたどるのだ。すぐに共謀者の雰囲気が生まれる。村人は、ジャーナリストが発見されないでいる時間を利用しなければならないというこを知っている。彼らはまた、外国人は検閲なしに報道できることも知っている。それだけいっそう、彼らはどんな質問にもついてきて、彼らの話をする。それは身の毛もよだつ話である。[以下省略]
[訳者の感想]淮河は、河南省の桐柏山に始まり、淮南市を通って、南京の北にある洪沢湖に注いでいる河です。この湖の水は、鎮江のあたりで長江に注いでいますから、長江の下流も汚染されていると見て良いでしょう。
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2 コメント

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Unknown (kts)
2005-12-26 11:11:11
日本海で大量発生している大きなクラゲも中国の垂れ流す汚水のせいだと思います。

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コメント有り難うございました。 (medicus19)
2005-12-26 13:09:02
今まであんなクラゲは見たことがありません。やはり東シナ海か黄海の自然環境に何か異変が起こっているように思われます。
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