海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「英国は、対テロ戦争の最前線」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年08月11日 | テロリズム
ロンドン発:まだ、一切が目下の状況に集中している。計画されたテロ攻撃の詳細、何千人もの旅行者が混乱の中で、いつ再開されるか分からぬ離陸を待っている英国の空港における悪夢。
 けれども目下の緊急事態の考察と並んで「英国におけるテロリズム」というテーマを巡って政治的論争が再燃する。トニー・ブレア首相は、もう長い間、批判の大合唱に直面している。批判は、「対テロ戦争」でのロンドンと米国との密接な関係には満足してない。
この戦争では、周知のように、英国は、アフガンとイラクでは軍隊を派遣して、最前線に立たされている。戦死した兵士の数は、その間に100人を越えた。
 ブレア首相に対する最近の批判は、レバノン問題に向けられている。その際、この紛争でイスラエルを寛大に扱い、主点をヒズボラと彼らの活動に置くアメリカの立場に余りに近いと批判されている。批判者は、イラク侵攻に際して米国を支持するという2003年のブレアの決断以来、英国はテロリストの網に捕らえられ、不必要に大きな脅威に曝されてきた。
 最後の数分で阻止された攻撃は、ブレア批判者にとって上昇気流となった。彼らは鋭く
テロリズムに対する戦争における積極的な役割が英国社会にとって何を意味するか、どれほどの永さ高度の脅威とともに生活できるかを問いつづけるだろう。英国に対する新たな攻撃はいつでも起こりうる。
 現実の英国の役割にも関わらず、全西欧文明が過激派イスラム主義によって敵であると刻印されたということは、これまでブレアにとって負担を軽減するものであった。そして2001年9月11日の攻撃のような攻撃は、米国も英国もどこかでテロリズムに対する軍事作戦に巻き込まれていない時点に、起こった。
 われわれはまた、今日、ロンドンは、--評論家のメラニー・フィリップが最近の著書で「ロンドニスタン」と呼んだように、--既に2001年よりずっと前にアルカイダ・ネットワークの共謀的準備にとって理想的な隠れ家となった。9.11の後、そして2005年7月7日のロンドンのテロ攻撃の後、治安関係者にも意識されるようになった活動にとって理想的な隠れ家となった。それ以来、集中的な監視措置のお蔭で、警察は、今、新たなテロの蛮行を未然に防いだ。
 「テロリズムに対する戦争」における英国の役割を巡る政治的議論は、鳥と卵のどちらが先かという問題に似ている。ロンドンが対テロ戦争に積極的参加したから、英国は増大するテロの脅威の下にあるのか、それとも、英国の政策が、イラク侵攻への重大な歩みをアメリカと始める以前に、テロリストたちはとっくに戦争準備をしていたのか?まだ、世論は、後の意見に傾いていて、テロリストというヤマタノオロチの中に、断固戦われなければならない脅威を見ている。
 対テロ戦争の最前線にある英国政府の役割は、トニー・ブレアにとって、にもかかわらず、大きな問題を投げかけている。テロとは戦わなければならない。だが、これを最も断固と宣伝している男にはほんのわずかの利点しか生まれない。
[訳者の感想]トーマス・キーリンガー記者の記事です。ブレアと小泉首相がどちらもアメリカに従って対テロ戦争を支持したのですから、テロリストから見ると日本も同列だろうと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする