海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「間違った武器と間違った標的」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2006年08月10日 | 国際政治
イスラエルの軍事行動の第三週までに、指導者達はヒズボラを壊滅させないまでも、崩壊させることを望んでいただろう。だが、先週、一日に最多のロケットがレバノン南部から発射されただけでなく、イスラエル兵の死傷者数もかなり増えた。
7日の間に二つの戦線で三つの陸軍を撃破することで軍事的な名声を得たこの国にとって、この一ヶ月続く紛争は、予期されたようには終わらない。ヒズボラは、これまでになく強力で断固としており、憤激している市民からの支持を訴えている。反対に、イスラエル国民は、その軍事力がヒズボラに対してわずかな効果しかないのを見て、疑いと不満を示しているように見える。
問題は、通常の戦術と武器は武装勢力には役立たないということである。敵の戦闘員が民間人である紛争では、爆弾や砲撃は与えられた瞬間に彼らがどちらの役を演じているかを区別することは殆どできない。武装勢力が民間人の間を動いている場合は、われわれは同じサークルの中を動かねばならない。
増大する疑いや不満は、イスラエル軍が新しい司令官をレバノン南部に送り込んだという声明である。ウディ・アダム陸軍少将は、主導権を握る代わりに火を消す男だと見なされる。恐らくこの理由で彼はこの紛争を速やかで受け入れ可能な結末へと導く司令官ではないと感じられている。イスラエル政府が、軍が望む戦略を追求することを軍に許さなかった後で、軍事的な問題は軍に任せるべきだということを理解したということはありうる。
 事情がどうであれ、この変化は広範囲にわたる影響を及ぼすだろう。第一に、軍事的力量を自慢している国は、より劣った敵に対する司令官の目に見える失敗によって揺さぶられるだろう。第二に、もっと重要なことは、これはヒズボラ戦闘員にとって元気を与えるだろう。彼らはこれは彼らの敵のもつ弱みのサインだと認識するだろう。
 リタニ川まで及ぶ地域に追加の3万人の兵力を動員することを含む新たな攻勢でもって、イスラエルは、その戦術を適合させるようには見えず、軍事的な力でヒズボラを圧倒しようとするだろう。これはヒズボラの術中に落ちることだ。ヒズボラがイスラエル軍をさらに厄介な地上戦に引きずり込むならば、イスラエルにとって破滅的な帰結となるだろう。武装勢力グループは、土地に固執せず、それを通って移動する。ヒズボラは、レバノンのどこででも、イスラエル軍と戦うことができる。国連が合意に達して、イスラエル軍と入れ替わるとき、イスラエル軍がまだヒズボラ戦闘員をリタニ川まで追いかけているとしたら、イスラエルは負けである。イスラエルにとって、この新たな攻勢は、時間との競争である。
[訳者の感想]レバノン紛争は、イスラエルにとってかなり具合の悪いことになる可能性があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする