海外のニュースより

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「崖っぷち」と題する『ニューヨーク・タイムズ』に書かれたクルーグマンの論説

2009年02月12日 | アメリカの政治・経済・社会
それほどおかしくないことが、経済回復の途中で起こった。過去二週間、絶望的な難局にある経済をどうやって救うかについての非常に真剣な議論であるべきだったものは、陳腐な政治劇になった。共和党は、無駄な政府支出と減税の奇跡という古臭い決り文句を叫んでいた。
それは、まるで過去8年間の惨憺たる経済上の失敗が起こらなかったかのようだ。けれども、民主党は信じがたいことだが、守勢に立っている。主要な刺激策が上院を通過したとしても、原案の重要な部分、つまり、国家と地方政府との援助は、骨抜きにされたという現実のリスクが存在する。
いずれにしても、ワシントンは、われわれが経済的深淵に落ちかけているという現実についての感覚を失った。もし、そうなれば、そこから抜け出すことは非常に困難だろう。
どれほど多くの経済的困難の中にわれわれがいるかを誇張しすぎることはない。この危機は、住宅から始まったが、ブッシュ時代の住宅バブルの破裂は、米国だけでなく、世界中に経済的ドミノ倒しを始めた。
その資産が激減し、住宅価格の下落で楽天主義を打ち砕かれ、株式市場が急降下した消費者は、彼らの支出を切りつめ、貯蓄を殖やした。これは長期的には良いことだが、現在の経済に対する大きな打撃だ。家賃が下落し、融資コストが急上昇している商業的不動産のデベロッパーは、投資計画を削減している。ビジネスは、彼らが持っている生産能力を十分に使用するほどは販売することができないので、生産能力を拡大する計画を削減している。過去数年間、米国経済の強い領域であった輸出は、現在、われわれの貿易取引相手が金融危機で打撃を受けているので、急落している。
景気後退に対するわれわれの主要な防御線、--金利を下げて、経済を救うFRBの通常の能力は、既に突破されてしまった。「連邦準備制度理事会」は、それがコントロールしている金利を事実上ゼロにしたけれども、経済はなお自由落下を続けている。
政府の行動がない場合には、われわれは深く長期的な不況に向かって突き進むと大抵の経済予測が警告しているのは不思議ではない。数名の私的なアナリストは、二桁の失業率を予言している。議会の予算局は、もう少し、楽天的だが、その局長は、最近、「財政政策における変化がない場合には、潜在的レベルに相関的な国民支出の減少は、1930年代の大恐慌以来、最大になるだろう」と警告した。(以下省略)
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