海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「共和党の危機」と題する『ツァイト・オンライン』の記事。

2008年11月12日 | アメリカの政治・経済・社会
アメリカの保守派の間では、一種の内戦が始まった。一人が全部に対して、全部は全部に対して争っている。問題は、「劇的な敗北に責任があるのは誰か」ということだ。歴史上の真実をめぐる論争で、三つの会派が形成された。第一は、頑固者、第二は、伝統主義者、第三は、改革派である。
何人かの右派インテリに導かれて、頑固者は、敗北がミスと無能力の混合だと主張している。「だが、共和党は健全だ。選挙が負けた日は、投資銀行リーマン・ブラザースが破産し、パニックが起こった日である」とチャールズ・クロートハンマーは書いている。それ以前はマッケインが優勢だったが、その後で、オバマが優勢になった。その上に、不人気な現大統領と選挙戦中の幾つかのミスが加わる。クロートハンマーに賛成する人たちは、「改革する必要はない。待てばいい」ということになる。
だが、伝統主義者は、それを全く信じない。共和党右派を根城にして、彼らは、共和党がレーガン流の保守主義を裏切ったと考えている。古典的な最小の政府という原則に立ち返らなければならない。右派インテリの新聞『ナショナル・レビュー』の周りにいる改革派は、レーガン主義は死んだし、復活する必要はないと信じている。選挙民によって罰せられた共和党は、自分を新たに発明することしかしてはならない。
この解釈主権を巡る戦いからの出発に、誰が党の指導を引き受けるか、どれほど長く野党の地位に甘んじるかが懸かっている。
実際、すべての理論は同じではない。数日前から、選挙結果についてのますます新しいデータがコンピューターから漏れてくる。選挙行動のミクロ的な考察は、党派内の議論が知らせるはずの保守党内の状況についての推理を可能にする。
バラク・オバマは、総得票数の6.5%の差でマッケインに勝った。それは明白だが、全く異常ではない。ビル・クリントンがパパ・ブッシュに勝ったときも、似たような差だった。ジミー・カーターは、1976年には、下院では、オバマよりもずっと大きな得票率を得た。保守派を不安にしているのは、マッケインの負け方である。少数派・若者・より教育のあるもの・郊外居住者を見る値打ちがある。
1)少数派:当然、黒人達はオバマに票を入れた。共和党はチャンスがなかった。だが、彼らは、何十年も前から黒人の間ではチャンスがなかった。黒人の95%がオバマを選んだのは、だんだんに投票する人がオバマのほうにずれたことが原因だ。
 ラテン系の動員と選挙人の移動は、もっと重大だ。ずっと前から、彼らは米国政治のおとなしい巨人だった。今度は、その巨人が目を覚ました。投票に行ったラテン系の67%がオバマに、31%がマッケインに票を入れた。その差は、4年前よりも、14%増えた。ニュー・メキシコ州、コロラド州、ネバダ州、フロリダ州で共和党が負けたことに対しては、ラテン系が大きく貢献している。コロラド州では、ラテン系住民が投票者全体に占める割合は、8%から、13%に増えた。そして、その61%がオバマに票を入れた。フロリダ州でも、オバマは、全ラテン系投票者の56%の票を集めた。かなり以前から、このマイアミ周辺の地域はキューバからの移民の根城である。彼らの多くは、これまでは、共和党に投票していた。・・・黒人に投票するのを拒んできた「ラテン系人種主義」は跡形もない。(以下省略)
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