海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「銀行は、ストレステストの結果を取引した」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年05月10日 | アメリカの政治・経済・社会
ワシントン発:最終的な透明性が作られるはずだった。だが、米国における銀行のストレステストは、混乱に配慮した。その根拠は、土曜日の『ウオール・ソトリート・ジャーナル』と『ファイナンシャル・タイムズ』による。両方の新聞は、米国政府とFRBに対して大規模な批判の声をあげた。それでもって、「損失を被った銀行は、どれほど多くの資本を実際には必要としているのか」という問題は以前よりも、もっとオープンになった。
 木曜日に、ガイトナー財務長官は、総額750億ドル(7兆1250億円)という具体的な金額を挙げた。これらの金額のうちで、どれだけが正しいかは明瞭でない。なぜなら、750億ドルというのは、明らかにしっかりした計算の結果ではないからだ。丁度、バザールでの取引のように。
『ウオールストリート・ジャーナル』と『ファイナンシャル・タイムズ』によると、銀行は、ストレステストの結果の公表前に、必要な資本の金額を低く計算するように、監督官庁と交渉をした。もともと、FRBに伝えられた数値は、明らかに公表されたものを上回っていたと、『ウオールストリート・ジャーナル』は、銀行や監督官庁の情報を引き合いに出して報道した。『ファイナンシャル・タイムズ』は、国家と金融機関との間の秘密協定についての銀行筋の情報を報道している。
 市場では、これらの新聞記事は、大きな不安を引き起こすかもしれない。本来、銀行ストレステストは、もっと多くの透明性を作り出すはずだった。今や、反対の事実が現れた。
「バンク・オブ・アメリカ」を例に取ると、ストレステストによると、この金融機関は、金融危機のこれ以上の先鋭化に対して備えるためには、339億ドル(3兆2200億円)の資本金を必要としている。これに対して、『ウオールソトリート・ジャーナル』は、「バンカメ」は、生き延びるためには、総額で500億ドル(4兆7500億円)以上必要だと報道している。
「シティー・グループ」についても同様で、その必要資本金は、交渉の結果、著しく引き下げられた。本来、必要な3兆5千億ドルが、僅か5千5百億ドルに下げられている。
過去数日の間に、銀行ストレステストに対する批判は、ますます声高になった。だが、両方の報道機関の報道が初めて、非難の理由を具体的な数字で示した。
『ウオールストリート・ジャーナル』によれば、銀行と役所の間の交渉は、普通である。経営トップは、監督官庁の結果公表以前に、結論に影響を与える可能性を持っている。株主達は、FRBの計算の結果に「怒った」反応を示したので、経営トップは、監督官庁と交渉することになった。
(訳者の感想)やはり、財務省と金融機関の間には取引があったと見るべきでしょうね。
日本の新聞の報道でも、必要資本金の額が意外に少ないという感想が多かったようですが。
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