白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(289)三島由紀夫「命売ります」

2018-01-18 17:16:39 | テレビ
三島由紀夫「命売ります」

13日よりBSジャパンで始まったドラマ(土曜9時)三島由紀夫原作の「命売ります」がなかなか面白い
原作「命売ります」は1968年「週刊プレイボーイ」に21回連載され、同年集英社より単行本として出版されたもので その年三島はのちの「盾の会」の原型である学生たちと自衛隊体験入隊を行っており丁度 祖国防衛隊の制服が出来上がった時期であった
連載中僕はその存在を知ってはいたが雑誌をパラパラと読む程度であった 文壇の方も大方は「通俗小説」と見られ全く注目もされなかった 二年後 三島が1970年11月25日 自衛隊市谷駐屯所で割腹自殺してから俄然注目されるようになった

連載に当たっての「作者のことば」は次の通り
小説の主人公といふものは ものすごい意志の強烈な人間のはうがいいのか 万事スイスイ 成り行き任せの人間のはうがいいのか、については昔から議論があります
前者にこだはると物語の流れが限定され 校舎に失すると骨なし小説になります
しかし今度私が書かうと思っているのは後者のはうです
今風の言葉だとサイケデリック冒険小説とでもいふのでせうか?


さてその第一話は
売れっ子コピーライター山田羽仁男(中村蒼)は変わらぬ社会、延々と続く日常に見切りをつけて睡眠薬自殺を図るが失敗に終わる 羽仁男は助かった自分の命を売り物にして商売することを思いつく 「LIFE  FOR SALE」の看板を掲げて
そんな羽仁男の所には毎回様々な癖のある依頼人が訪れ奇妙な要求をする
最初の客岸(田中冺)の依頼は 自分の若い妻るり子(橋本まゆみ)と関係を持ち そのヤクザの愛人(大杉連)に見つかり殺されて貰いたいという奇妙なものだった
関係中男に見つかったが男は絶頂を迎える妻の表情を写真に撮るだけで羽仁男は殺されずに帰される 翌日るり子の死体が隅田川に浮かぶ 羽仁男は失敗したと思い岸に金を返そうとするが岸はるり子が殺されたので成功だと大金を置いて帰る
「また今回も死ねなかった」

ナレーションは三島の盟友 美輪明宏
主人公が行きつけの喫茶店(ママはYOU)には必ず美輪の曲が掛かっている

毎回事件に巻き込まれるが主人公は必ず生き残ると思われる
そしておそらく捨てたはずの命を惜しむようになるのであろう

中村蒼は色気があり この役に合っている
依頼人はこれからもケッタイなゲストがでてくるのであろう

第二回以降も期待する
 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿