白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(89) 女子刑務所ソング集(2)

2016-06-10 17:19:02 | うた物語
その(2)

吉村正人作「赤いひなげし咲いたとて」より抜粋

M13  さんげの値打ちもない

     あれは2月の寒い夜
     やっと14になった頃
     窓にちらちら雪が降り
     部屋はひえびえ暗かった
     愛というのじゃないけれど
     私は抱かれてみたかった

     あれは5月の雨の夜
     今日で15と云う時に
     安い指輪を贈られて
     花を一輪飾られて
     愛というのじゃないけれど
     私は捧げてみたかった

     あれは8月暑い夜
     すねて19を超えた頃
     細いナイフを光らせて
     にくい男を待っていた

        健三 刺される
    
     (アカペラで)愛というのじゃないけれど
     私は捨てられつらかった・・・

     あれは何月 風の夜
     とうに二十歳も過ぎた頃
     鉄の格子の窓をみて
     月の姿が寂しくて
     愛というのじゃないけれど
     私は誰かが 欲しかった・・・

     そうしてこうして暗い夜
     年も忘れた 今日のこと
     街にゆらゆら灯りつき
     みんな祈りをする時に
     ざんげの値打ちもないけれど
     私は話してみたかった


M14   檻の虎(ギター)
     会いたさ見たさに 怖さを忘れ 暗い夜中に牢破り
     会いにきたのに いとしい人は 他の女と色模様
     包丁振り上げ男の胸を 刺して地獄に逆落とし


M16 夢は夜ひらく(カラオケ)   ひとりずつ歌う

夏子   かわいい坊やは何してる おっぱいほしいと泣いている
     馬鹿なかあちゃん 許してね・・・夢は夜ひらく

冬美   一人 寂しく寝ていても こんなせつないことはない
     はやくあいたい(やりたい) あの人と・・・・夢は夜ひらく

秋子   点呼点呼のあけくれに 今日も一日無事でした
     合わす両手にまた涙・・・夢は夜ひらく

春美   青葉若葉の春が過ぎ せみ鳴く夏を目の前に
     一年三月もあとわずか・・・夢は夜ひらく


M17 希望(のぞみ)(ギター)

冬美  ここから出たら  母にあいたい      
    同じ部屋で 眠ってみたい
    そして そして 泣くだけ泣いて
    ごめんねと 思いっきりすがってみたい  

夏子  ここから出たら 旅にいきたい
    坊やを連れて 汽車に乗りたい 
    そして そして 静かな宿で
    ごめんね と おもいっきり抱いてやりたい

春美  ここから出たら 父に詫びたい
    遠いふるさと 小さな丘へ
    そして そして 苔むすお墓に
    ごねんなさいと 一言
    あやまりたい

秋子  ここからでたら 強くなりたい
    希望をもって 耐えていきたい
    そして そして 命の限り
    美しくもいちど 生きていきたい

四人  そして そして 命の限り
    美しく も一度 生きていきたい 

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