白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(377) ひらひらり

2021-02-08 13:08:37 | 人物
  白鷺だより(377)ひらひらり

 先週まで「週刊女性」に三話に渡って連載されていた漫画「ひらひらり」が完結した



 いわゆるミヤコ蝶々物語であるが 作者の女性漫画家は昨年亡くなっていて惹句に「おちょやんのモデル浪花千栄子とほぼ同時期に活躍した、戦中戦後を通じ恋と芸に生きた浪花のオカンミヤコ蝶々の物語」とあるように浪花千栄子が浪花のオカンみたいに描かれるなら、オットドッコイもう一人いまっせとばかりに連載されたと思われる なる程監修にきっちり上田浩人の名前が入っている 日向利一氏の名前も入っているので用意周到といえる

この物語は一応ミヤコ蝶々が語る恋懺悔の体裁で進む
引抜きで多くの芸人を新興芸能に奪われた吉本芸能が目をつけたのが旅廻り一座のちびっ子座長ミヤコ蝶々だった 吉本の人気者三遊亭柳枝に芸を仕込まれやがて男女の仲になり一子利一を儲けるが柳枝には妻がいて不倫の子供だった 他人のものを奪った者はいつか人に奪われると柳枝の妻に云われ悩む蝶々 やがて柳枝劇団に吉村朝治という若い男が入ってきて身の回りの世話をさせているが自らの不倫と女癖の悪い柳枝に耐え切れず、はずみで駆け落ちしてしまう
二人はやがて戻ってくるが「ケジメ」をつけるため二人は柳枝劇団を退団、いちから蝶々が仕込んで漫才コンビ「ミヤコ蝶々、上方トンボ」として再出発 やがて上方トンボは南都雄二と名前を変え「蝶々雄二」は名コンビとなり売れっ子となる 
しかし好事魔多し、雄さんは若い愛人が出来 子供まで出来てしまう
いつか柳枝の奥さんの言った言葉「他人の物を取ったらいつかは人に盗られる」が本当になる
二人は別れてもコンビはそのままに活躍するが蝶々が本名の日向鈴子名で書いた自伝。「おんな一人」か大ヒット その劇化を前に雄さんが亡くなり芝居も大ヒット 蝶々スクールを立ち上げ後進を育て、いつしか「なにわのオカン」と呼ばれるようになった

漫画はこういう話を淡々と綴っている
本当はナニワのオカンらしい面を描いて欲しかった

オマケ演劇資料

ミヤコ蝶々はいっとき松竹新喜劇に入っていた
松竹としては寛美の借金問題などで人気下降気味だった新喜劇へのテコ入れ

昭和41年1月 南座 昼 回転木馬 夜  流れ星ひとつ
    2月 中座 昼 花粉   夜  養子とキツネうどん
    3月 御園座 昼 養子とキツネうどん 夜 花粉
     寛美、南都雄二 大阪の遊び人共演の貴重な公演
     寛美首 蝶々、五郎八コンビで乗り切ろうとするが思うように客入らず
    5月 南座  昼 赤チャン赤信号 夜 灘のきむすめ
     蝶々病気休演 
   6月  中座  昼 豆菊はんとひな菊はん 夜 息子の歌
    7月 演舞場 昼 豆菊はんとひな菊はん 夜 えらいやっちゃ
     蝶々雄二 退団 8月 五郎八、中村あやめ退団
    9月 中座 十吾 助っ人に入る
    10月 南座 曽我迺家明蝶 助っ人に入る
    11月 中座 藤山寛美復帰第一回公演
     以降新喜劇は休みなしの公演続く
     バカを見た蝶々は以後しばらくは東宝系梅田コマで公演
    
   






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