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映画 №348 オレの記念日

2022-09-19 12:36:54 | 映画観賞・感想

 20歳の時に殺人犯にでっちあげられ、29年間も獄中で過ごしたという「布川事件」の桜井昌司(75)さんを追ったドキュメンタリーである。ご本人が映画の後に登場してお話されると知って興味をいだき映画会に参加した。

        

 映画会は9月17日(土)午後2時から札幌市生涯学習センター「ちえりあ」の6階講堂で開催された。同じ想いをした方が多かったのだろうか?老壮年の方を中心に講堂はほぼ満杯の状況だった。(キャパ210人というから150~60人は入っていた?)

 「布川事件」とは、昭和42(1967)8月、茨城県利根町布川で大工の男性(当時62歳)が自宅で殺された。捜査は難航、茨城県警は当時、地元で素行の悪かった桜井昌司さんと杉山卓男さんを別件逮捕。長時間に及ぶ取り調べの末、虚偽の「自白」をさせ、犯人にでっちあげた。桜井さんと杉山さんは無実を訴えたが、聞き入れてもらえず昭和53(1978)年、無期懲役が確定。そして29年の獄中生活を経て、ようやく仮出獄。平成21(2009)年12月に再審開始が決定。平成23(2011)年5月24日に無罪判決が下された、という事件である。

 映画は無罪判決が下された平成23年の1年前から撮影が開始され、それからの12年間の桜井昌司さんの姿を追ったものである。

 桜井さんは無実であることがやがて認められると信じ、いつか娑婆に出て無罪判決を勝ち取るまで超ポジティブに生きていくと決めたそうだ。刑務所では靴職人として腕を磨き、本を読み体を鍛え、そして獄中での思いを作詞作曲して歌に残した。

   

   ※ 映画の中でインタビューに答える桜井昌司氏です。

 20歳で獄中に繋がれ、以来29年間もの間を獄中で過ごさねばならなかったことはどんなにか辛いものだったろうと察せられるが、桜井さんは強靭な精神力でそれを乗り越えたそうだ。画面からは彼の明るい人柄、ユーモア精神、そして何といっても強靭な精神力が強く伝わってきた。

 49歳で仮出獄となり娑婆での再スタートも波瀾万丈だった。殺人犯のレッテルを張られたままでの仕事、結婚、拘禁症、共犯者とされた杉山さんとの諍いなど…。さらには2019年には末期の直腸ガンを患い余命1年と宣告された。しかし桜井さんはあくまで超ポジティブである。「苦難は喜びの種だ。どんなに辛いことや苦しいことがあったとしても、それを喜びに変えられるのが人生だと思っている」と語る。

 そして桜井さんは言う。「人生の一瞬一瞬、全てが自分にとって『記念日』のように思える」と…。

 映画が終わり、桜井さんが冒頭の写真のように作務衣姿で登場した。本来なら桜井さん作詞作曲の歌も披露するはずなのだが、会場の規則でトークだけとなってしまったが、彼は冤罪事件の被害者救済のために病をおして全国を飛び回っているという。その桜井氏が強調したことがあった。冤罪事件で無罪が確定したとしても、警察や検察はけっして謝罪をしないと…。(これについて私は詳しくは承知しないが、法律によってそのように定められているらしい。)

   

   ※ 映画上映後に登場した桜井昌司氏です。

 そこで桜井氏は、もし違法な捜査によって冤罪となったと判断された場合は、警察や検察を罪に問う法律を作るべきである、と強調された。桜井氏が強調されることがどれほど難しいことなのか私には分からないが、冤罪事件の当事者にとっては当然の思いではないかと思えるのだが…。

   

   ※ トークの最後には仮出獄の後に結婚した妻・けい子さんも登場した。 



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