赤岩展望台のところが最高到達地点ではなかったが、そこから少し上った後はゴールのフェリーターミナルがある集落まで楽ちんの下り道だった。天売島の残り半分にもビューポイントがたくさんあった。
赤岩展望台を後にし「海鳥観察舎」に向かった。ここに至るまでが意外に難渋した。というのも、私は「海鳥観察舎」とは、スタッフが常駐するような立派な施設だと思い込んでいた。そう思ったのは、前日のウトウの帰巣風景の観察のとき「海鳥観察舎には50倍もの望遠鏡が備えられている」と聞いていたからだ。
実際に自分が走った距離感覚とマップから考えて「この辺りでは?」と目星を付けて海辺に向かうと小さな小屋が見えた。しかし、「そんな小さな小屋ではあるまい」と考え、折り返して前に進んだのだ。進んでも、進んでもそれらしきところがない。「あれっ?もしかしたら…」と思い、引き返してみた。何の案内もなかったが、先ほどの小さな小屋に向かったところ、中には誰もいなく、望遠鏡が1台ポツンと置かれていた。私の完全な思い過ごしだった…。
※ 私がイメージしていたものとは大きく違い、こんな小さな観察舎でした。
海鳥観察舎からは断崖絶壁の崖とその前に立つ「カブト岩」の絶景が素晴らしかった。その崖の中腹が、絶滅が心配されているオロロン鳥(ウミガラス)のコロニーということだったが、望遠鏡で見るとオロロン鳥のデコイが見えるだけだった…。
※ アレッ?カブト岩が頭の部分しか写っていませんね。6/27にi-phoneで投稿した写真の方が良いですね。
※ 6/27のi-phoneから投稿した写真はこちらから⇒
※ こちらちょこんと見える岩は「女郎子岩」だと思います。これ以上前に出て撮ることはできませんでした。
そこからまた走ること約10分、こんどは「観音岬展望台」である。
ここから見る景色もまた素晴らしかった。「カブト岩」とその対岸の崖を、海鳥観察舎とは反対側から見る感じだった。
※ 遠くに小さく会場に見えるのがカブト岩だと思います。
※ 振り返ると遠くに「天売島灯台」が見えました。
ここで天売島の観光とはまったく関係のない話を…。
マップに「なぜかここだけインターロッキングの歩道あり」という記述があった。
確かに観音岬展望台からフェリーターミナルに向かう途中の道路の一部に歩道が設けられていた。それがインターロッキングの歩道ということだ。
インターロッキングとは何ぞや?と思い、帰宅して調べてみると、ブロック状になったコンクリートを敷き詰めた歩道のことを指すということが分かった。なるほど、その歩道は街中でも良く見られるブロック状のコンクリートが敷き詰められた歩道だった。
※ どこでも見られる歩道ですね。欠点はブロックの隙間から雑草が生えることだとか、その欠点が目立ちます。
集落に向かう小高い丘のところに、ちょっとした広場と東屋風の休憩舎があった。そこからは天売島の北端に立つ「天売島灯台」が見えた。そして、広場の端には「天売島周辺海域 海難遭難者慰霊碑」が建っていて、遭難者の氏名が記されていた。
※ 島内一周の最後、高台から見える天売港の様子です。
フェリーターミナルがある集落へ戻ってきた。最後に訪れたのは「海の宇宙館」である。
海の宇宙館というネーミングに「?」と思ったので少し調べてみた。すると、この館が島在住の写真家・寺沢孝毅氏が私財を投じて建設した施設であることを知った。
寺沢氏のことについては多少の知識があった。もともと天売小学校に赴任した教師だった人で、絶滅危惧種のウミガラスをはじめとする海鳥の保護・調査活動を熱心に行ううちに、教師を辞して天売島に永住を決心し、それらの活動と共に自然写真家として本格的に活躍している方である。(現在の彼はワールドワイドに活躍しているようだ)
その寺沢氏が、海の宇宙に浮かぶ小さな星「天売島」で、私たちの星のことを考えられるスポットにしたいという思いを込めて創られた施設ということで納得することができた。
※ 右奥の建物が「海の宇宙館」です。入館料は無料です。
※ 「海の宇宙館」の管内展示の一部です。
「海の宇宙館」自体はそれほど大きな施設ではなかった。館内には寺沢氏が撮影した海鳥をはじめとした自然を写し取った写真が大きくディスプレイされ展示されていた。
そして幸運にも、訪れたときに寺沢孝毅氏本人にお会いすることができた。
来客に応接中だったため、多くは話せなかったが、一つだけ質問をさせていただいたところ丁寧に質問に答えていただいた。
その質問とは、島内で開花期を迎えていた大きな野草のことだった。異常に大きな花をもつその野草はセリ科の「エゾニュー」という種だった。
※ これはまだ全開前のエゾニューです。こんな大きな花は初めて見たような気がします。
※ こらは全開したエゾニューの花です。
今回の旅ではそれほど多くの方と交わることができなかったが、最後になっていわば天売島を象徴するような方にお会いできたのは幸運であった。(私がNHK・BSで彼が旅したアラスカ紀行の番組を観たことを伝えると嬉しそうに応えてくれた)
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