1946年生まれの私には「ゲイとか、レスビアンを理解せよ」と言われても、素直に理解することができないのが正直な思いである。最近唱えられているLGBTについて考える機会になるかも?との思いから映画会に参加してみた。
小笠原の旅から帰ってきた翌日からいつもの札幌の生活モードに戻り、コンサートだ、講義だ、映画だと忙しく出歩いている。これから数日、それら少し溜まってしまった記録を紐解く作業をしたいと思う。
3月14日(水)夜、札幌市男女共同参加センターが主催する映画「ミルク」のエルプラホール映画上映会に参加した。上映された映画が「ミルク」という映画だった。
映画『ミルク』(2008制作・公開)は、1970年代のアメリカで同性愛者として初めて公職に就いた、ハーヴィー・ミルクの最後の8年間を描いた実話である。彼は、自らがゲイであることを公表し、ゲイである仲間たちが差別を受けることなく自分らしく生きていける社会を目指して戦い続け、そのことで最後には命を落としてしまうというストーリーである。
男と男が恋に陥る…、おじさん世代の私には、まずこのことが理解できない。私たち世代は、そうしたことがアブノーマルなことと刷り込まれてきたからかもしれない。
しかし、現実には表立ちはしないけど、世の中には自分の気持ちに正直がゆえに苦しんでいる人がたくさんいるということのようだ。
そうした状況の中、ミルクはゲイであることを公表し、同性愛者の公民権獲得や地位向上のために立ち上がった。そしてサンフランシスコの市議会議員(正確には市議会議員ではなかったと思ったが、公職であることには違いない)に何度も挑戦し、ついに議席を獲得するに至る。
ミルクは、同性愛者支援に留まらず、黒人やアジア人、高齢者、児童、下級労働者等、様々な社会的弱者の救済のために活動し、次第に活動が実を結んでいく。支持者は着実に数を増やし、いつしか社会からも理解が生まれ始める。
しかし、それは同時に反発も呼び、ミルクを危険人物のみなす層も生じていった…。
ミルクは自分の身の危険を察知しながらも、運動を止めようとはしなかった。そのことがやがて…。
映画会では、札幌市が発行する「LGBTってなんだろう?」と題する冊子をいただいた。
冊子によると、LはLesbian(レスビビアン:同性を好きになる女性)、GはGay(ゲイ:同性を好きになる男性)、BはBisexual(バイセクシュアル:同性も異性も好きになる人)、TはTransgender(トランスジェンダー:身体の性に違和感を持つ人)という意味だそうだ。
そして冊子ではこう説いている。「性のあり方は一人ひとり違うことを認識し、差別的な言動を控え、みんながありのまま自分らしくいられるようになることが大切です」と…。
多様性ということが各方面で言われることが多くなってきた。
人を型にはめるのではなく、ひとり一人がありのままに、自分らしく生きられる社会となるために、頭の古い田舎オヤジも頭のすげ替えを求められた映画だった。
なおこの映画で第81回のアカデミー賞主演男優賞を獲得したミルク役のショーン・ペンのまったく違和感のない演技が光った映画でもあった。