goo blog サービス終了のお知らせ 

田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

グローバリズムと北海道経済

2011-08-28 23:04:35 | 札幌学 & ほっかいどう学
 私のブログにはふさわしくないような固いタイトル名である。この度タイトルにあるような講演を聴く機会があったのだが、すっかり老化した我が脳には難解であった。しかし、なんとか聴くことができたのでレポートすることにした。

          

 講師は農業経済学が専門の本間正義氏(東京大学教授)だった。
 本間氏は主張する。グローバル化の進展は、単なる貿易自由化が進むというだけではなく、制度の統一化、競争条件の共通化へと進展するだろう。制度や競争条件を協議するとき、そのネットワークの内にいるべきである。外にあることによって日本の産業がガラパゴス化するリスクは避けなければならない。
 したがって、TPP(環太平洋戦略的経済協定)には参加すべきである、というのが本間氏の主張だった。

 8月27日(土)、小樽商科大学創立100周年記念国際シンポジウムが京王プラザホテルで開催され、参加してきた。
 本間氏の講演はシンポジウムの基調講演として行われたものだった。

          

 本間氏は帯広畜産大学を卒業し、小樽商大で助教授、教授を勤めた経歴を持ち、北海道の経済、特に農業について相当に深く研究された方である。
 賛否が入り混じるこの問題、特に農業関係者からは猛烈な反対論が渦巻くこの問題に対して本間氏は明解に論じてみせた。

 TTP問題は国の食料の確保という問題、あるいは農産業の保護という問題と絡んで、国内的には難しい問題であり、私などの素人が口を挟む問題ではないのかもしれない。
 しかし、本間氏の講演を聴いた感想くらいは述べることを許されるだろう。

 本間氏は道農政部が試算した資料も提示してくれた。
 それによると、TPPに参加した場合北海道の農業産出額は現在のおよそ半分となり、コメ、小麦、てん菜などは壊滅的な打撃を受ける。そして農業経営者の3/4は廃業に追い込まれると道農政部は試算したという。

          

 こうした試算があるにもかかわらず本間氏はTPPの参加を促す。
 その根拠の一つは、試算そのものは関税を突然撤廃した場合の試算であり、実際は10年以上の期間にわたって段階的に撤廃することが認められているという点である。
 根拠の二つめとして、例えTPPに参加しなくとも市場開放要求は繰り返され、関税削減は避けられない趨勢にあるということを根拠として挙げる。
 そして本間氏はこの問題に対して「冷静な議論とマクロ的長期的視点から判断」することを求めている。

 1人の話を聴いただけでこの問題を論ずるつもりはないが、本間氏の明解な解説には頷ける部分も多々あった。
 できれば反対の立場に立つ方からの話も聴いてみたいと思った。

※ 午後の国際シンポジウムの部は、他の講座を受講するために聴くことができなかった。