ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙の「大学は変われるか コストの通信簿」を拝読しています

2014年01月29日 | 日記
 2014年1月27日発行の日本経済新聞紙の朝刊から一面のコラム「大学は変われるか コストの通信簿」シリーズが始まりました。

 1月28日発行分では、その第二回目の「教育改革のジレンマ かさむ出費、経営は綱渡り」を拝読しました。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版には見出し「(大学は変われるか)コストの通信簿(2)教育改革のジレンマ」として掲載されています。



 日本を代表する有力大学である名古屋大学は、文部科学省が平成22年度(2010年度)から進めている国際化拠点整備事業(通称は「グローバル30」)に選ばれた13大学の1校です。同整備事業が目指す「留学生などに魅力的な教育を提供し、留学生と切磋琢磨する環境の中で国際的に活躍できる人材養成を図るために、海外の学生が我が国に留学しやすい環境を提供すること」を図っています。

 名古屋大学はこのための費用として、5年間で約13億円を受け取り、環境整備に努めます。外国からの留学生93人が暮らす5階建て宿舎に約4億5000万円を費やし、さらに外国人教員19人の人件費に約2億円、英語文献の購入費用に約1億円と、億単位の費用が次々と発生し「出費は想像以上に膨らみ、費用は補助金の約2倍かかった」と担当の副学長が語ります。

 外国人留学生一人当たりに給付する奨学金50万円(1年度当たり)を捻出するために、創立70周年で集めた寄付金の運用益の大半をつぎ込んだと伝えています。

 子供の少子化が進む中で、日本国内で選ばれる大学になるには、名古屋大学のような有力校でも、教育内容を向上させる投資が不可欠になっているそうです。

 ある有力大学の方に、IT(情報通信)システムの更新費用だけでも、毎年かなりの金額になっていると伺ったことがあります。ITシステムの例えばサーバーなどの最新版の導入もかなりお金がかかる時代です。

 教育改革の投資費用は膨らむ一方なのに対して、大学の収入アップを図ることは現実的には難しいそうです。東京都内の中堅私立大学の理事は「教育改革に取り組まなければ、大学間の学生獲得競争に勝ち残れない。しかし、教育改革をすればするほど、財政面では厳しくなる」と本音を語ります。

 1月28日発行の朝刊一面に掲載された「コストの通信簿(1)」では、長野県松本市にある私立大学の松本大学学長の苦悩を伝えています。

 現在、松本市では、長野県が現県立短期大学を改組して4年制県立大学を新設する構想が進んでいると伝えています。この結果、もし県立大学が開校すれば、「学費が安い県立大学に進学する高校生が増え、私立大学の松本大学は経営難に陥る可能性が高い」と訴えます。

 長野県としては、地元の高校生が県立大学に進学すれば、若者が地元の企業に就職する機会が増え、地元の地域振興につながると読んでいます。

 日本私立大学協会の副会長は「私立大学の定員割れは教育内容が悪いからではない。授業料で国立・公立大学に太刀打ちできないからだ」と訴えています。

 日本では、グローバル人材養成のために大学改革を迫られています、その現場である各大学は、大学経営の安定を求めて苦悩しています。大学経営が安定しないと、そこで学ぶ学生は困ります。なかなか奥深い問題です。