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今、ここで(Now ,here) by 中村真生子

自分探詩(じぶんさがし)& 山陰柴犬かれんとの日々

出立の朝

2013-09-11 08:40:53 | 旅行

どこまで?

ここまで。

やっとここまで

たどり着く。

みちのくへの

出立の朝。

やっとここまで

たどり着いた

出立の朝。

Photo

野あざみ〈キク科〉

copyright Maoko Nakamura


もう少し

2013-02-10 11:23:22 | 旅行

もう少し

探す。

もう少し。

あきらめないで

もう少し。

あきらめそうになっても

もう少しだけ。

もう少し。

ほんの少しだけ

もう少し。

そして

見つけた

探していたもの。

あきらめそうに

なったところから

「もう少し」の場所で。

Photo

スノードロップ〈ヒガンバナ科〉

copyright Maoko Nakamura


ガラ系喫茶店

2013-02-05 10:45:35 | 旅行

大都会の幹線道路沿いに

その喫茶店はあった。

地方都市でも

もう見かけないような

昔ながらのたたずまい。

もちろんレトロモダン

などというふうでもない。

ただ古めかしいのだ。

待ち合わせの時間まで間があり

いくら探しても

喫茶店はそこしかなかった。

ガラス窓越にのぞくと

客は誰もいない。

意を決して入ったが

中はいたって清潔だった。

女店主もいたって普通で安心した。

しばらく過ごしてそこを出た。

去年の暮れのこと。

その都会に浮かぶ

ガラパゴス島のような喫茶店は

以来、時々の意識の表に浮上する。

心の底から聞こえる声となって…。

ガラパゴス島のような存在故

記憶にない記憶と絡み合い…。

Photo

シャコバサボテン〈サボテン科〉

New Book!

http://www.coal-sack.com/syosekis/view/850/850

copyright Maoko Nakamura


雪のホーム

2013-01-26 23:13:23 | 旅行

山間の駅の

雪のホームを挟んで

並んだ列車。

単線ならではの

待ち合わせ。

向こうの列車は

東京へと向かう

寝台特急。

すでに灯が落とされ

雪の中に

ぼんぼりのように横たわる。

すれ違いざまに

最後の車両に乗っていた

子どもが手を振る。

美しい影絵となって…。

Photo_2 

大山町(鳥取県)

copyright Maoko Nakamura


旅の終わりに…

2012-10-31 17:01:31 | 旅行

巡り

出会い

笑い

語り合い

夢見るように

時は流れ

旅は終わりぬ。

思い出と

喜びと

一抹の寂しさを

残して友と別れ

また

それぞれの場所で

いつもの

暮らしが始まる。

5

八重山神社(島根県雲南市)

copyright Maoko Nakamura


夜の汽車

2012-07-04 23:22:37 | 旅行

夜の汽車に乗る。

カタカタと

揺られて夢に導かれ

カタカタと

揺られて目を覚ます。

背中で揺られた

遠い日々のように…。

カタカタと揺られて

家路につく…。

Photo

アガパンサス〈ユリ科〉

copyright Maoko Nakamura


宇治にて

2012-05-10 18:03:42 | 旅行

突然降り出した大粒の雨に

傘の花咲く。

その一つの下に

寄り添いながら歩く若いカップル。

睦まじく美しい姿に

二羽のアゲハを思い出す。

さっきまで居た

木花開耶姫祀られている

神社の座敷の

ガラス障子越しに見た

二羽のアゲハを。

重なるように舞っていた

青いアゲハを。

彼らはもしや蝶の化身か。

そんなふうに思うのも

ここが宇治だからだろうか。

『源氏物語』の舞台ともなった…。

Photo

丁字草〈キョウチクトウ科〉

copyright Maoko Nakamura


エトランゼのように

2012-02-13 10:13:25 | 旅行

久しぶりの陽気に誘われて

島根半島に出かけてみる。

水道に架かった橋を渡り

くねくねとカーブをした道を

半島の先端に向かって走ると

大山が見えてきた。

空と海の青いキャンバス

まばゆいばかりの真白い衣

ゆったり広がる優美な裾野…。

部屋から見る姿との違いに

私は戸惑い

エトランゼのようにキミを見つめる。

一抹のジェラシーを感じながら…。

キミもエトランゼのように私を見る。

けれど私はもう知っている。

キミはキミであることを。

私は私であることを。

互いに何も変わったりしないことを…。

Photo 2

やぶ椿〈ツバキ科〉と大山

copyright Maoko Nakamura


青空の千木

2012-01-18 22:44:29 | 旅行

暖かな車内で

本を読みながらうとうと。

「ふぁ~あ。ふぁ~」。

隣のおじさんの大あくびに

目を覚まして

窓の外を眺めれば

二筋の飛行機雲。

神社の千木のごとく「X」を

青い空に描き…。

ここが神の住処と

言わんばかりに…。

Photo

木蓮〈モクレン科〉

copyright Maoko Nakamura


出雲のお社にて

2011-03-30 17:34:03 | 旅行

正月は大雪のため

出雲大社に行くこと叶わず。

なんとか年度内にという

母の願いでお参りに行く。

高速が延びて

大社まで1時間ちょっと。

昔に比べて

随分近くなった。

平日にも関わらず

境内はたくさんの人。

曲がっていた母の背が

お社の前で

しゃんと伸びる。

いつまでこうして行けるのか。

それを思うと

ありがたさがいっそう心に沁みる・・・。

Photo_3

おだまき

copyright Maoko Nakamura


こっくりこっくり・・・

2011-01-29 11:23:59 | 旅行

降りしきる雪の中を

列車はこっくりこっくりと走り

イバラに包まれた城のように

誰もがこっくりこっくり眠り込む。

音楽を聞いていた若者も

おしゃべりをしていた女たちも

仕事をしていた男も

誰もがこっくりこっくり眠り込む。

こっくりこっくり・・・

こっくりこっくり・・・。

列車は走り、人は眠り込む。

雪は降りしきる。

Photo

ブーゲンビリア(とっとり花回廊)

copyright Maoko Nakamura


満足な旅

2010-11-21 18:44:10 | 旅行

天気が良くて満足。

車の中がポカポカで満足。

流れている音楽が良くて満足。

紅葉がきれいで満足。

道に迷ったけど、

ちゃんと目的地に着けて満足。

ランチの店は混んでいて待ったけど、

いい席で食事ができて満足。

料理もおいしくて満足。

行けなかったところがあったけど、

今度行く楽しみができて満足。

帰りに寄ったハーブ園は閉館だったけど、

写真を撮って満足。

紅葉の落ち葉も拾って満足。

夕焼けがきれいで満足。

無事に家にたどり着いて満足。

なんにでも満足で満足。

みんな満足で満足。

満足で満足。

Photo

秋晴れ(中央は大山)

Copyright Maoko Nakamura


見知らぬ町の故郷の駅

2010-11-08 10:14:05 | 旅行

見知らぬ町へ行こうと思った。

国境の手前で列車を降りた。

小さな駅には

小さな待合室があって

頭に黒いスカーフをした

女たちが腰かけ、

そのスカーフを

3月の風になびかせていた。

ここがどうして

見知らぬ町なのだ。

簡素なプラットフォームも

こじんまりとした待合室も

故郷の駅にそっくりじゃないか。

ここがどうして

見知らぬ町なのだ。

女たちのまなざしも

スカーフをなびかせる様も

故郷の人にそっくりじゃないか。

ここがどうして

見知らぬ町なのだ。

あれから30年の月日が流れ、

思い出すたびに

その駅は

ますます故郷の駅に近くなる。

Photo

おしろいばな

Copyright Maoko Nakamura