きみの背中 2015-12-28 14:40:29 | 旅行 目に見えない きみの背中を手探りで探す。 言葉を投げかけ 返ってくる言葉で 確かめながら。 そして 見事と探り当てたら ポン!と押すのだ。 ほど良い力で。 押された気はするけど 自分で歩み出したと思うような ほど良い力で。 けれど 言葉はむなしく空を切り 見えそうで見えない きみの背中。 冷え込んだ今朝。海には湯気のような霧が…。
今日も旅人 2015-11-19 13:37:57 | 旅行 遠い昔 旅をした。 どこでも そこが自分の 居場所になるくらい。 遠い昔 旅をした。 帰り着いたとき そこがどこだか わからなくなるくらい。 今もずっと 旅をしている。 どこかへ行こうが どこへも行かまいが。 ここが 自分の居場所と 見つけるための…。 最後の一葉
大旅行! 2015-11-16 13:58:21 | 旅行 バスと電車とバスとタクシーを 乗り継いでの 久方ぶりのひとり旅。 決して遠い場所ではないけど 公共交通機関では 行きにくい里山にある劇場へ。 3時間近くかけて たどり着き 1時間ほどの芝居を見て帰る。 乗り換えの駅で ご飯を食べたり ワインを飲んだり それなりにお土産も買う。 車で行けば 45分ほどの距離だけど 乗り継ぎ乗り継ぎ 初めての場所へ。 気分はすっかり大旅行。 劇場のテラスからの眺め
高梁川 2015-01-29 22:42:36 | 旅行 学生服の中学生たちの 間をすり抜けて橋を渡る。 呼ばれたような気がして 見ると川面に鈍色の光。 城を守る掘りとして 闘いの舞台となった高梁川。 そして時代が落ち着くと 高瀬舟の水路として 繁栄をもたらした川。 城は今も川を見守り 川は今も城を仰ぐ。 人は時折り佇み 川を遡るように 時を遡る。 高梁川〈高梁市〉
吹屋にて 2015-01-28 21:38:02 | 旅行 早朝に家を出て 9時頃山間の町に着く。 土手の草には びっしりと霜の花。 霜の柱も幾本か。 石垣に囲まれた お屋敷の前に 苔蒸した梅の古木。 緑青色の枝から ベンガラ色の小さな蕾。 過ぎ去りし時を 愛おしむように粉雪は舞い 新しき春を 慈しむように蕾は膨らむ。 銅とベンガラの町 吹屋にて。 霜の花
百年の学び舎 2015-01-22 21:07:03 | 旅行 ほんの数年前まで 子どもたちの声が 響いていた古い学び舎。 中をのぞくと 板張りの広い廊下があり 左手に校長室 右手には職員室。 その向こうには 教室があるのだろう。 明治、大正、昭和、平成と 百年以上現役で働き 子どもたちを 見守っていた古い学び舎。 お父さんお母さんばかりでなく おじいさんおばあさん ひいおじさんひいおばあさんも 同じ小学校に通っていたという 子どもたちもいたのだろう。 染み込んだ百年の思い出が あの頃のような わくわくした気持ちを 思い出せてくれる古い学び舎。 吹屋小学校校舎(岡山県高梁市)
黄金の魚 2014-12-29 20:59:34 | 旅行 激しい雨を降らせた 雨雲が通り過ぎ 切れた雲の間から 現れた太陽が 湖面を輝かせる。 水面に姿を現した 黄金の魚のように。 やがて黄金の魚は クジラのように大きくなり 湖岸を走る 私たちをも飲み尽くす。 夢見心地で 眩い腹の中を駆け抜ける。 今こうして ここにいる 幸せをまといながら…。 ジュリアン〈サクラソウ科〉
夜の散歩。 2014-09-22 23:22:19 | 旅行 夜の散歩。 空には満天の星 地には家々の灯。 宇宙の光と 人々の光。 闇の中で旅する 二つの故郷。 ダイヤーズカモミール〈キク科〉 たっちの「かれん」 copyright Maoko Nakamura
ベンチ 2014-06-01 15:43:48 | 旅行 雨の日も 風の日も佇み だれをも 静かに受け入れる ベンチよ。 あの日 あなたが座り 檸檬色の 物語を紡いだ ベンチに わたしが座る。 30年という 時を経て…。 花咲く日も 花散る日も佇む ベンチよ。 それぞれの物語を 重ねながら…。 バラ〈バラ科〉 散歩途中の「かれん」 copyright Maoko Nakamura
「言葉では言えない」 2014-05-31 11:20:51 | 旅行 大州(愛媛県)の和紙屋さんに 置いてあった 昭和40年代製の半紙。 店主に話を聞きと 卓越した書家ほど 古い半紙を好むという。 シミがついていようが 問題なくで 時を経たものがいいという。 新しいものは 1~2年置いてから 使ったりするとのこと。 新しい半紙と 古い半紙とでは 書いた時に 「どう違うか」と問えば 「言葉では言えない」と答える。 「墨の吸収が違うか」と重ねて問えば 「言葉では言えない」と重ねて応える。 友とふたり 妙に納得して店を出る。 柏葉紫陽花〈ユキノシタ科/アジサイ科〉 勢いよく走る「かれん」 copyright Maoko Nakamura
南の町へ 2014-05-01 20:22:07 | 旅行 朝焼けの中 山を越え 海を越え 南の町へ。 アヤメやシランや 故郷の町より 少し早く咲く 花の景色の中 初めての人に出会い 初めてのものを食べる。 夕闇の中 見上げれば 故郷の町と同じ 上弦の月。 海を越え 山を超え 北へと向かう。 月とともに。 にわぜきしょう〈アヤメ科〉 日野川下流で佇む「かれん」 copyright Maoko Nakamura
雪雲 2014-02-04 21:45:48 | 旅行 春になることを 頑なに拒むように 厚い雲が 海に垂れ込める。 眠そうな 瞼のように 海にかかるあれは 雪雲。 海沿いを走る列車で 石見から伯耆へ向かえば 出雲辺りから 案の定、雪の国。 カリンの芽吹き〈バラ科〉 舌出し「かれん」 copyright Maoko Nakamura
遠回り 2013-12-04 19:42:07 | 旅行 朝から 雪起こしのような雷と みぞれ交じりの激しい雨。 小降りになったところで 山へと向かう。 帰りには 眩いばかりの陽の光。 誘われるように 海辺の道へ。 遠回りをして家路につく。 近回りより たくさんの光を浴び…。 ブルーベリー〈ツツジ科〉 copyright Maoko Nakamura
道標(みちしるべ) 2013-09-12 07:03:26 | 旅行 飛行機と新幹線を乗り継いでただりついた街で迎える新しい朝。「街の復興より心の回復のほうが時間がかかる」。 夕べ闇の中でもらった言 葉が道標。 白花犬蓼〈イヌタデ科〉 copyright Maoko Nakamura