歌舞伎で大笑いすることはあまりないのだが、今回は笑いっぱなしだった。
それは、「身替座禅」
山蔭右京(仁左衛門)が浮気相手のところに行きたいのだが、奥方・山の神(左團次)の監視が厳しい。
そこで一晩お堂にこもって座禅を組み修行をすると嘘をつく。
身替りに太郎冠者をあてて、座禅をくんでいるふうを装い、浮気相手のところに行く算段なのだ。
これが上手くいって、右京は浮気相手のところへ。
太郎冠者は身替りの座禅を。
ところがそこへ、奥方が様子を見に来てしまう。
あっという間に太郎冠者は見破られ、代わりに奥方が座禅をくむふりをして、右京の帰りを待つ。
そんな事とは知らず、いい気分で帰ってきた右京。楽しかった夜の話を、太郎冠者だと思い、奥方に話してしまう。
さあ、一大事。
すべてが暴露されてからの、修羅場。
奥方が話を聞きながら、悲しそうな顔をするのも、メークのすごさが気にならず、可愛そうになってくる。
結局、謝り倒して許しを請うのだが、二人のやりとりが面白い。
最初から最後まで大爆笑の舞台だった。
「操り三番叟」
操り人形が三番叟を踊る面白い振りの舞踊劇。
三番叟は舞台を清める、と言われていて、江戸時代は舞台が始まる前に、踊られていたという踊りだ。
この人形に染五郎、後見に松也。
操り人形なので、足元はふらふら。
音を立てるところは後見の役目。
この二人の息がぴったりあっている。
人形振りも面白く、これも楽しかった。
「不知火検校」
盲人の最上位の階級のことを検校という。
富之助(幸四郎)は、盲人だが悪事を働くことを何とも思っていない。
自分の欲のために師匠の不知火検校を殺し、大金を自分のものとし、二代目の不知火検校を名乗る。
その後も悪行は止まるところをしらず、自分の意中の女を殺し、その愛人も殺し・・・。
しかし、その悪事を手伝っていた玉太郎(松也)があまりの恐ろしさに、番屋に注進したため、つかまってしまう。
悪事の数々、それを淡々と演じているのが凄味があった。
今月は三作ともたっぷり楽しめた。
さて、次回は何を観ようか。
歌舞伎座は端午の節句。