(付) 国際石油企業3社(Shell、BP及びTotal) のキャッシュフロー
1.まえがき
キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。
キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。
因みに上記項目の英語はShellの決算書では以下のように表記されている。
営業キャッシュ・フロー: Cash flow from operating activities
投資キャッシュ・フロー: Cash flow from investing activities
財務キャッシュ・フロー: Cash flow from financing activities
期間内収支: Increase/(decrease) in cash and cash equivalents
期首残高: Cash and cash equivalents at beginning of period
期末残高: Cash and cash equivalents at end of period
五大国際石油企業の第2四半期決算書では、Shell、BP及びTotalは4-6月の3か月間のキャッシュ・フローが明示されているが、Chevronは1-6月の半年間のフローが表示され、またExxonMobilは営業キャッシュ・フローのみの明記にとどまっている(なお毎年3月に公表される年間決算書では完全なキャッシュ・フロー・シートが公開されている)。
従って本稿ではShell、BP及びTotal3社の2020年第2四半期キャッシュ・フローに加え、3社の2019年第2四半期から今期まで5期の四半期の営業・投資・財務及び期末残高の各キャッシュ・フローの推移を見ることとする。
(続く)
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