石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

「OPECは何処へ向かう」(連載)

2007-11-30 | OPECの動向

(注)HP「中東と石油」の「OPECの部」で全文をご覧いただけます。

その1.どこまで上がる原油価格

  原油価格の上昇傾向に歯止めがかからない。年初(2007年)に1バレル当たり50ドルであったWTIの価格は11月には90ドル台に達し、わずか1年で2倍近く値上がりした。1986年以来、2003年までの20年近くにわたり20ドル台に低迷していた原油価格が、その後4年足らずの間に4倍に急騰したことと合わせ、価格は異常とも言えるペースで上昇している。そして11月21日にはついに99.29ドルの史上最高値を記録し、100ドルを突破するのは時間の問題と言われる状況である(上図参照)。

  エネルギー消費国の意向を代弁すると言われるIEA(国際エネルギー機関、事務局:パリ)は、価格の急騰を抑えるためにOPECに度重なる増産を要請してきた。これに対しサウジアラビアのナイミ石油相やカタルのアッティヤ副首相兼エネルギー相などOPEC(石油輸出国機構)加盟各国の石油相は、異常な高価格は石油の需給バランスというファンダメンタル以外の要因によるものである、と主張した。OPEC側の言い分は、市場には十分な原油が供給されており、価格高騰は中東のほか世界の産油国をめぐる地政学的な問題、或いは米国の石油精製能力不足によるガソリンの供給不足等が原因だ、ということである。そして特に最近の高騰については石油先物市場に雪崩れ込む投機資金によるものであり、石油価格の決定権は今や市場にありOPECには価格を左右する力は無い、と説明している。このことについてカタルのアッティヤ大臣は、「1986年に原油が10ドルまで暴落しOPECが市場改善を要望した時、消費国側は『価格は市場が決める問題である』と、つれなく突き放したのに、価格が暴騰するとOPECに『何とかしてくれ』と言うのは虫が良すぎる」と痛烈に皮肉っている。

  OPECも手をこまねいていた訳ではなく、9月の臨時総会で50万B/Dの増産を決議した。しかしこの増産決議も焼け石に水であり市場の勢いは止まらない。石油業界の多数意見は現在の価格水準が高過ぎると見ているが、一部の関係者は第二次オイルショック後の1980年の最高価格40数ドルを現在のインフレ係数で換算すると101.7ドルに相当することから、原油価格は100ドル台でもおかしくないと考えている。

  OPEC内部でも強硬派のチャベス・ベネズエラ大統領は100ドルは妥当な価格だとしており、同じく強硬派のアハマドネジャド・イラン大統領もこれに同調している。さらにチャベス大統領は、米国がイランを攻撃した場合原油価格は200ドルになる、と反米を意識した政治的な発言をしている。そしてIEAも現状を放置すれば2030年には159ドルに達すると警告しているのである。 (第1回完)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月30日)

2007-11-30 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・OPEC加盟国、2012年までに1,500億ドル投資で5百万B/D能力増:アル・ハムリ議長談

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月29日)

2007-11-29 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・ナイミ・サウジ石油相:原油増産を示唆せず。「全ては12/5のOPEC総会で」

・アッティヤ・カタル石油相:「増産の必要性無し

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月25日)

2007-11-25 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・イラン石油相、増産の可能性を否定せず

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月22日)

2007-11-22 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・NY原油が99ドルを突破

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沖合ガス田の開発をめぐるイランとカタルの動向

2007-11-22 | OPECの動向

 ペルシャ湾(別名アラビア湾)沿岸諸国のうち特にイラン、カタル、サウジアラビア、ア首連一帯には油田に加え天然ガス田が多数あり、これら4カ国の天然ガス埋蔵量は世界全体の37%(イラン16%、カタル14%、サウジアラビア4%、ア首連3%)に達する。中でも最大のガス田はペルシャ湾にあるカタルの「ノース・フィールド・ガス田」と、イランの「南パルス・ガス田」である(上図参照)。カタルの北部或いはイランの南部にあるため、それぞれの名称に「ノース(北)」或いは「南」が付けられているが、地質学的には単一のガス田である。

  天然ガスの多くは地下の地層中に石油と共に存在しており、石油と一緒に産出されるため「随伴ガス」と呼ばれている。しかしイラン・カタル沖合ガス田はガスのみを産出する非随伴性ガス田(別名:構造性ガス田)であり、この種のガス田としては世界最大である。

  現在カタル側の「ノース・フィールド・ガス田」及びイラン側の「南パルス・ガス田」双方で大規模な開発プロジェクトが進行しており、生産された天然ガスはパイプラインで国内各地に供給され或いはLNGとして輸出されている。天然ガスは石油に比べ環境負荷の少ないエネルギーとして評価が高く、世界の天然ガス需要は今後20年間、年率2.4%で増加すると推定されている。「南パルス」及び「ノース・フィールド」両ガス田の開発は両国の命運を賭けた最重要プロジェクトである。

  しかしながら両国のプロジェクトは対照的な様相を示している。湾岸で最も親米的なカタルはエクソン・モービル、シェルなど米英スーパーメジャーから資本と技術を導入し、これに日米欧のエンジニアリング企業を巻き込んで次々とプロジェクトを完成、製品のLNGも世界各国へと出荷されている。これに対してイランは米国が主導する経済制裁のため欧米有力企業の優れた技術を起用することができず、自力開発を強いられ、さらに販路開拓にも苦しんでいる。

(注)本稿は(財)中東調査会発行の「中東研究」第497号(10月15日発行)に発表した論文の一部です。全文については同号をご覧ください。

目次

1. イラン・カタル沖合ガス田

2. カタル及びイランの開発の現状

(1) ノース・フィールド・ガス田

(2) 南パルス・ガス田 

3. 国内外で急増する天然ガスの需要

4. イラン・カタル沖合ガス田が抱える問題

(1) カタル側が抱える潜在的な問題点

(2) イラン側が抱える顕在的な問題点

(3) パイプラインかLNGか

5. おわりに

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月19日)

2007-11-19 | 今週のエネルギー関連新聞発表

(OPEC加盟国首脳会議関連ニュース)

・リヤド宣言を採択して閉幕

・リヤド宣言(全文)

・エクアドルが15年ぶりに再加盟

・湾岸4カ国が7.5億ドルを拠出して地球温暖化対策の基金を設立

・原油のドルリンクについて12月のアブ・ダビ総会前にOPEC蔵相会議開催

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月18日)

2007-11-18 | 今週のエネルギー関連新聞発表

(OPEC首脳会議関連)

・リヤドで第3回OPEC首脳会議開催

・米が攻撃すれば原油は200ドルに:イラン大統領警告

・サウジ、石油の調査研究及びメディア賞を設置

(その他)

・中国とロシアがガス輸出価格で合意

 

 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月17日)

2007-11-17 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・サウジ、OPECサミット宣言でのドル問題言及に反対

・カタル、4番目のLNG基地を極東に計画、伊藤忠が関与か?

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニュースピックアップ:世界のメディアから(11月16日)

2007-11-16 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・OPECサミット前夜記者会見:原油供給は十分、価格高騰は非OPEC要因

・イラク石油相:クルド自治政府と石油開発契約した外国企業に警告

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする