石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

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2024-08-20 | その他

 これまでにブログおよび各種の雑誌への寄稿等に発表したレポート、エッセイ等を「マイ・ライブラリー(論稿集)」としてまとめました。 日々のニュースをモニタリングしているブログ「石油と中東」及び荒葉一也編集ブログ「OCIN Initiative」及び「Middle East Informant」とあわせてお読みください。

おすすめのコーナー:

・(New)五大国際石油企業2024年4-6月期業績比較

・(New)ウクライナ紛争で激変したロシアと西欧のエネルギー貿易

・(New)EI世界エネルギー統計2024年版

・(New)世界のGDP(IMF WEO 2024年7月版)

・(New)世界主要国のソブリン格付け(2024年7月現在)

・(New)世界ランクシリーズ5 男女格差指数(2024年版)

・(New)OPECプラスの協調減産を分析する

・五大国際石油企業/アラムコ/邦系2社2023年(度)業績比較

・(New)世界ランクシリーズ7 軍事費と武器輸出入(2024年版)

・戦後ガザはどうなるのか?当事者たちの本音と本性

・世界ランクシリーズ10 報道の自由度

・世界ランクシリーズ1 人口・出生率・平均寿命

・アラブ世界の大企業500社番付

グローバルサウスに傾斜するMENA諸国(MENAの多国間関係)

・(再録)サウジアラビア・サウド家

・エッセイ「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」

 

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(196)

2024-08-20 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

エピローグ(8

 

196 見果てぬ平和(1/3)

 皮肉にも「アラブの春」が中東でそれまでにない大量の難民を生んだ。故郷で名も無くつつましく暮らしていた彼らはやむを得ず国境を越えて逃げ延びた。そもそも彼ら庶民にとって「国境」は自分たちが生まれる前に英国とフランスがサイクス・ピコ協定を結び自分たちの手の届かないところで勝手に線引きしたものであった。そして今、「IS(イスラム国)」によって自分たちの目の前で国境が「溶けて」行こうとしている。

 

 国境があるがために紛争に巻き込まれ故郷を追われる中東の難民の苦悩は、周囲を海に囲まれ地上の国境線を持たないがゆえに当たり前のように平和を享受している日本人には理解することはとても難しい。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(2)

2024-08-20 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

1. FDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額) 

(世界の投資資金の4分の1を吸い上げる米国!)

(1)2023年のFDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額)

(表http://rank.maeda1.jp/9-T01.pdf 参照)

 2023年の世界のFDIインバウンド総額は1兆3,300億ドルであった。流入額が最も多かったのは米国であり、金額ベースでは3,109億ドル、世界全体の23%を占めている。米国1国だけで実に全体の4分の1近い投資資金を吸い上げている。米国に次いで流入額が多いのは中国の1,633億ドル(12%)であり、米国と中国の2カ国で世界のFDIインバウンドの3分の1を占めている。

 

両国に次ぐ世界第3,4位のFDIインバウンド国(都市)はシンガポール(1,597億ドル)及び香港(1,127億ドル)であり、以上4カ国が1千億ドルを超えている。米国と中国を核とする太平洋経済圏が世界中から投資資金を集めていると言えよう。第5位はブラジルの659億ドルである。

 

その他主要な国を見ると、ドイツは370億ドル(世界9位)、インドは282億ドル(世界16位)である。日本のFDIインバウンドは214億ドルで世界で21番目に多い。韓国は日本より60億ドル少ない152億ドルの投資資金を集めている。なお英国の2023年のFDIインバウンドは▲892億ドルの巨額のマイナスとなっている。これは外国資金の引き上げが新規の流入額を大幅に上回っていることを示しており、英国経済に対する信頼感が薄れたことがうかがわれる。

 

中東各国のFDIインバウンドを見ると、UAEの流入額は307億ドルに達している。これはインドを上回り、世界12位である。UAEを構成する首長国の一つであるドバイは金融ハブとして中東の香港あるいはシンガポールのような役割を果たしている。コロナ禍を乗り越え、中東地域の旺盛な投資意欲を受け、ドバイは活況を呈しているようである。

 

ドバイに次ぐFDIインバウンド国はイスラエル(164億ドル)、サウジアラビア(123億ドル)、トルコ(104億ドル)であるが、イスラエルはハイテク産業が投資のけん引役であり、サウジアラビアは安定した石油収入を餌に、海外から投資資金を呼び寄せ国内経済の多角化を推進している。これら各国に比べイランの投資流入額は14億ドルにとどまっている。欧米先進国による経済制裁の影響が外国からの投資の障害となっていると考えられる。

 

FDIインバウンドの金額及び世界ランクを前年(2022年)と比較すると、1位から4位までは2年連続で変わらない。但し米国は6%、金額にして214億ドル減少、中国も259億ドル(14%)減少している。日本の2022年流入額は342億ドルであったが、2023年は4割近く減り、世界ランクも14位から21位に落ちている。

 

中東諸国は2022年比でFDI流入額の減少した国が多い。サウジアラビアは前年比で半減しておりイスラエル、トルコも20%台の減少となっている。これに対してUAEは2022年より80億ドル増加し、サウジアラビアと順位が逆転した。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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中東とエネルギーのニュース(8月19日)

2024-08-19 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・米国務長官10度目の中東訪問。19日、ネタニヤフ首相と会談後カイロへ

・ハマス幹部:ガザ停戦間近は幻想。楽観論を否定

・ヒズボッラー、レバノンの地下道路網、ミサイル格納庫のビデオ公開

・中東不安を逆手にドバイが不動産ブーム。今年上期の取引額81億ドル

・気温43度、体感温度53度のクウェイトで燃料不足のため計画停電

 

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圧倒的な米国の支配力―世界一の貸し手兼借り手:UNCTAD「世界投資レポート2024年版」(1)

2024-08-19 | 世界ランクシリーズ

(世界ランクシリーズ その9 2024年版)

 

  国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 第9回の世界ランクは、UNCTAD(国連貿易開発会議)が毎年刊行する世界各国の直接投資(FDI)に関する報告書の最新版「World Investment Report 2024」をとりあげました。(詳細は下記参照)

https://unctad.org/system/files/official-document/wir2024_en.pdf

 

「World Investment Report 2024」について

UNCTADの「World Investment Report 2024」は、外国直接投資(Foreign Direct Investment, 以下FDI)の最新の状況を世界規模で調査分析した報告書であり対象となっている国は200以上に達する。

 

 本稿ではFDI inflows、FDI outflows、FDI inward stock及びFDI outward stockの1990年~2023年のデータを取り上げ、上位5か国、日本、米国、中国など世界主要国のほか、中東の主要国について各国の直接投資の現状を比較することとする。

 

 なお本稿では上記それぞれの英語表記の訳語を以下の通りとする。

FDI inflows:        FDIインバウンド

FDI outflows:       FDIアウトバウンド

FDI inward stock:   FDIインバウンド残高

FDI outward stock:  FDIアウトバウンド残高

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(195)

2024-08-17 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

エピローグ(7

 

195 増え続ける中東の難民(3/3)

彼らは着の身着のままで地中海を渡ろうともがく貧しいアフリカ難民とは異なり、難民ではあっても無一物ではなかった。難民の定義づけではアフリカ難民は経済難民であり、これに対してシリア難民は政治難民である。そのシリア難民が命の次に大切にしたものがスマートフォンであった。徒歩で西に向かう彼らはスマートフォンで現在の居場所を確認するとともに、先を行く知人友人からどこの国境検問所が難民を受け入れそうか、或いは国境が閉鎖されている場合は無断越境が可能なルートを探る。さらにそれらの情報を自分たちの後を追っている友人や親戚に知らせる一方、すでにヨーロッパに移住している親族と連絡を取り合って落ち着き先を探す。スマートフォンはまさに命綱であった。

 

 しかしヨーロッパ各国の難民の受け入れも限界に近付いたようである。各国の経済負担の限界を超えたというよりもむしろ大量の移民がもたらす市民自身の失業に対する不安感或いはイスラームテロなどに対する政治的社会的恐怖心が蔓延してきた。すでに多くのアフリカ難民がヨーロッパの大都市周辺に定住し、そこで生まれ育った移民二世たちの失業率は高く、彼らのある者はイスラームの過激思想に染まり、自暴自棄に陥り都市での自爆テロに走るようになった。他方、白人たちの不安を掬い取るように極右勢力は移民排斥、イスラーム排斥を主張して国民の支持を集めている。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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今週の各社プレスリリースから(8/11-8/17)

2024-08-17 | 今週のエネルギー関連新聞発表

8/12 Shell

Shell invests in Phase 2 of Surat Gas Project in Australia

https://www.shell.com/news-and-insights/newsroom/news-and-media-releases/2024/shell-invests-in-phase-two-of-surat-gas-project-in-australia.html

 

8/12 Chevron

chevron starts production at anchor with industry-first deepwater technology

https://www.chevron.com/newsroom/2024/q3/chevron-starts-production-at-anchor-with-industry-first-deepwater-technology

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中東とエネルギーのニュース(8月16日)

2024-08-16 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格:Brent $79.95, WTI $77.21

(中東関連ニュース)

・ドーハでのガザ停戦人質解放交渉、15日決着つかず16日にもつれ込む

・ハマスは停戦協議に直接参加せず仲介国が逐次レク

・ガザの死者数4万人突破。負傷者9.2万人、市民の85%が住宅失う

・ヒズボッラー、兵士死者数約400名と公表

・PLO議長、トルコ訪問。エルドガン大統領と会談

・イラク:駐留米軍の撤退時期延期を発表。理由は不明

 

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増収増益のExxonMobil、減収赤字のbp:2024年4-6月期五大国際石油企業決算速報(9完)

2024-08-15 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0610OilMajor2024-2ndQtr.pdf

 

(原油価格の変化に連動する売上高!)

III. 過去8四半期の売上高と原油価格

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 ここでは2022年7-9月期から今期(2024年4-6月期)までの2年間、8四半期の各社売上高と原油価格の推移を概観する。

 

2022年7-9月期は期中平均のBrent 原油価格が100ドルを超えたこともあり、各社とも売上高は高かった。トップはExxonMobilの1,121億ドルで5社の中では唯一1千億ドルを超えていた。Shellも1千億ドルに今一歩の957億ドルの売上を達成した。他の3社はTotalEnergies 690億ドル、Chevron 635億ドルであり、bpは最も少ない578億ドルである。

 

 原油価格は2022年10-12月期に90ドルを切り、さらに2期続けて下落、2023年4-6月期には78ドルと8四半期の中では最低の水準に落ち込んだ。その後、価格は回復、最近の3四半期は84ドル前後に落ち着いている。

 

各社の売上高は原油価格の変動にほぼ比例しており、トップのExxonMobilの売上高は、1,121億ドル(2022.7-9月期)→954億ドル(2022.10-12月期)→866億ドル(2023.1-3月期)→829億ドル(2023.4-6月期)→954億ドル(2023.7-9月期)→843億ドル(2023.10-12月期)→831億ドル(2024.1-3月期)→931億ドル(2024.4-6月期)と変化している。ExxonMobilの四半期売上高の変化は上記原油価格の変動と極めて近似している。

 

 他社の売上高の推移は以下の通りである。Shellとbpは2022年10-12月の原油価格下落にもかかわらず売上高が増加しているが、これを除けば、各社とも原油価格の変動と符牒を合わせて売上高が上下している。

(単位:億ドル)

              2022年        2023年                      2024年

              7-9月  10-12月 1-3月  4-6月  7-9月  10-12月 1-3月  4-6月

Shell         957→ 1,013→  870→   746→  764→   787→  725→  745

bp            578→  704→  570→  495→  540→  526→  500→  483

TotalEnergies  690→  686→  626→  563→  590→  592→  563→  537

Chevron        635→  545→  488→  472→  545→  489→  466→  496

 

(完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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中東とエネルギーのニュース(8月14日)

2024-08-14 | 今日のニュース

(エネルギー関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・Brent原油5日連続値上がり$80超える。WTIは$79.58

・IEA、今年の世界石油需要増97万B/Dを据え置き

・OPEC、今年の石油需要見通し下方修正。10月からの減産緩和方針と齟齬

*レポート「OPEC+の協調減産を分析する」参照。

(中東関連ニュース)

・米国務長官、ガザ停戦会議開催未定で中東訪問延期

・米国防長官、潜水艦派遣命令。太平洋から航行中の空母現地到着急かす

・イスラエル:イラン攻撃切迫めぐり首相と国防相間の亀裂拡大

・イラン:副大統領候補のZarif前外相が指名辞退。新閣僚顔触れに失望か

・リビア議会、トリポリ正統政府と絶縁宣言

・トルコ情報機関、世界的サイバースパイ網摘発

格付け機関Fitch、イスラエル格付けをAプラスからAに格下げ。 *

*資料「世界主要国のソブリン格付け」(S&P、7月現在)参照。

・サウジで日本とコラボの照明アート開催、52,000人来訪

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