石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(6月30日)

2009-06-30 | 今日のニュース

・IEA、石油需要の中期見通しを大幅に下方修正

・アブダビ、国際再生エネルギー機構(IRENA)の本部誘致に成功。

・カタールとポーランドがLNG供給契約を調印、両国ににじむロシアへの気遣い

・Opec増産の必要なし:アルジェリア、カタール両石油相が表明

 

 

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BPエネルギー統計2009年版解説シリーズ:天然ガス篇(3)

2009-06-28 | その他

*HP「中東と石油」に本シリーズ(1)埋蔵量~(6)貿易(その3)が一括掲載されていますのでご覧ください。

BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2009」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

天然ガス篇(3):世界の天然ガスの消費量

(1) 地域別・国別消費量

 2008年の世界の天然ガス消費量は3兆187億立方メートル(以下㎥)であり、BP統計史上初めて3兆㎥を突破した。地域別では欧州・ユーラシアが1兆1,439億㎥と最も多く全体の38%を占めている。これに次ぐのが北米(8,244億㎥、27%)であり、これら2地域だけで世界のほぼ3分の2の天然ガスを消費している。3番目に多いのがアジア・大洋州4,853㎥(16%)で、その他の地域は中東3,271億㎥、中南米1,430億㎥、アフリカ949億㎥であった。アフリカの天然ガス消費量は世界全体の3%で、欧州・ユーラシアの12分の1に過ぎない。(図「2008年地域別天然ガス消費量」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-95aGasConsumptionByRe.gif参照)

  次に国別に見ると、最大の天然ガス消費国は米国であり、同国の2008年の消費量は6,572億㎥であった。これは全世界の22%に相当する。第2位はロシア(4,202億㎥、14%)、これに続くのがイラン(1,176億㎥)、カナダ(1,000億㎥)、英国(939億㎥)である。6位以下には日本(937億㎥)、ドイツ(820億㎥)、中国(807億㎥)、サウジアラビア(781億㎥)、イタリア(777億㎥)が名を連ねている。(表「国別天然ガス消費量ベスト20(2008年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-3-95GasConsumptionByCountries.htm参照)  

(2)天然ガス消費量の推移

 1965年に6,510億㎥であった天然ガスの消費量は、2008年までの43年間常に前年を上回って増加している。1971年には1兆㎥、1991年に2兆㎥を超え、2008年にはついに3兆㎥の大台を超えた。

  石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から急激に消費量が減った例に見られるように、価格が高騰すると需要が減退すると言う市場商品と同様の現象がある。しかし天然ガスの場合は輸送方式がパイプライン或いはLNGの形であり、生産国と消費国が直結している点が石油とは異なっている。そしてこれら輸送施設を整備するために多くの時間とコストを必要とする反面、一旦設備が稼動すると長期かつ安定的に需要が伸びる傾向がある。天然ガスの消費量が過去43年間にわたり一貫して増加しているのはこのような天然ガスの特性によるものと考えられる。

  上図「地域別天然ガス消費量の推移(1965~2008年)」は、全世界及び欧州・ユーラシア、北米、アジア・大洋州をはじめとする6地域の消費量の推移を見たものである(拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-95bGasConsumption1965.gif)。地域毎の生産量の推移にはいくつかの大きな特徴が見られる。1965年の世界の天然ガス消費量のうち71%は北米、残る24%を欧州・ユーラシアが占めており、その他アジア・大洋州、中南米、中東及びアフリカを合わせてもわずか5%にすぎなかった。その後、北米の消費量の伸びが小幅にとどまったのに対して、欧州・ユーラシア地域は1970年以降急速に消費が拡大し、1981年には北米を追い抜いている。そして1980年半ばから1990年初めまでは世界全体の消費の50%を同地域が占めていた。同地域の消費量は2001年に1兆㎥を超え、2008年には1兆1,440億㎥に達しているが、アジア・大洋州の消費量が急速に伸びているため、世界全体に占める割合は徐々に低下しており2008年は38%となっている。

  アジア・大洋州の1965年の消費量はわずか58億㎥であり中南米(142億㎥)、中東(101億㎥)より少なかったが、1980年頃から増加傾向が顕著となり特に90年以降は消費が急激に増大している。同地域の2000年の消費量は2,949億㎥であり世界全体の12%を占めたが、2008年には消費量(4,850億㎥)及びシェア(16%)とも拡大している。

   北米、欧州・ユーラシア及びアジア・大洋州の地域の違いは先に述べた輸送設備の拡充が消費の増大をもたらすことの証しであると言えよう。即ち北米では1965年以前に既に主要なパイプラインが完成していたのに対し、欧州・ユーラシアでは旺盛な需要に対応して1970年以降ロシア方面から西ヨーロッパ向けのパイプラインの能力が増強されている。この場合、パイプラインの増設が西ヨーロッパの更なる需要増加を招く一方、ロシア及び中央アジア諸国などの天然ガス生産国では新たなガス田の開発が促進され、相互に呼応して地域全体の消費を押し上げる相乗効果もあったと考えられる。そしてアジア・大洋州の場合は、日本が先陣を切ったLNGの利用が、韓国、台湾などに普及し、また中国もLNG輸入を開始したことにより地域における天然ガスの消費が拡大している。

   天然ガスは石油に比べて炭酸ガスや有害物質の排出量が少ない「環境に優しいエネルギー」として今後ますます需要が拡大することは間違いない。世界的にも新しいパイプラインやLNGの搬出・運搬・受入設備が増強されている。また石油の可採年数が42年に対して天然ガスのそれは60年であり(本シリーズ石油篇及び天然ガス篇第1回参照)、天然ガスの開発と生産拡大の余地は大きく、今後消費拡大のペースは続くものと思われる。

(天然ガス篇第3回完)

(これまでの内容)

天然ガス篇(2):世界の天然ガスの生産量

天然ガス篇(1):世界の天然ガスの埋蔵量

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(6月27日)

2009-06-27 | 今日のニュース

・仏原子力メーカーAreva社、株式15%を外国企業に。三菱重工、アブダビMubadalaが有力:Finatial Times報道

 

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今週の各社プレスリリースから(6/21-6/27)

2009-06-27 | 今週のエネルギー関連新聞発表
6/25 経済産業省      アブダビ首長国との共同備蓄プロジェクトの開始について http://www.meti.go.jp/press/20090625004/20090625004.pdf
6/25 国際石油開発帝石      執行役員の異動および執行役員への担当業務の委嘱ならびに幹部社員の異動について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2009/20090625-a.pdf
6/25 国際石油開発帝石      LNG 受入基地建設本部の設置について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2009/20090625-b.pdf
6/24 国際石油開発帝石      ブラジル連邦共和国 北カンポス沖合フラージ油田からの生産開始について~ブラジルにおける本邦企業初の油田生産~ http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2009/20090624.pdf
6/24 出光興産      出光とLG Display有機EL事業における戦略的提携関係構築について http://www.idemitsu.co.jp/company/information/news/2009/090624.html
6/24 昭和シェル石油      サウジアラビア王国内における CIS太陽電池発電事業プロジェクトへの参画について http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2009/0624.html
6/23 AOCホールディングス      人事異動に関するお知らせ http://www.aochd.co.jp/ir/pdf/090623_jinji.pdf
6/23 OPEC      Sixth Meeting of the EU-OPEC Energy Dialogue http://www.opec.org/opecna/Press%20Releases/2009/EU-OPEC%20release.htm
6/25 BP      BP Selects New Chairman to Succeed Peter Sutherland http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7054008
6/23 SaudiAramco      Saudi Aramco and Sumitomo Chemical Select Project Management Contractor for Rabigh Phase II http://www.saudiaramco.com/irj/portal/anonymous?favlnk=%2FSaudiAramcoPublic%2Fdocs%2FNews+Room%2FNews&ln=en#clr=N&lang=EN&category=Our%20World&month=&year=&page=&lnchPath=
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BPエネルギー統計2009年版解説シリーズ:天然ガス篇(2)

2009-06-26 | 今日のニュース

*HP「中東と石油」に本シリーズ(1)埋蔵量~(6)貿易(その3)が一括掲載されていますのでご覧ください。

BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2009」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

天然ガス篇(2):世界の天然ガスの生産量

(1) 地域別・国別生産量

 2008年の世界の年間天然ガス生産量は3兆656億立方メートル(以下㎥)であった。地域別では欧州・ユーラシアが1兆873億㎥と最も多く全体の36%を占めている。これに次ぐのが北米(8,123億㎥、27%)であり、これら2地域だけで世界の63%に達する。その他の地域はアジア・大洋州4,112億㎥(13%)、中東3,811億㎥(12%)、アフリカ2,148億㎥(7%)、中南米1,589億㎥(5%)であった。(図「地域別天然ガスの年間生産量」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-94aGasProductionByReg.gif参照)

  各地域の生産量と埋蔵量(前回参照)を比較すると、中東は埋蔵量では世界の41%を占めているが生産量では12%に過ぎない。これに対し北米は埋蔵量シェアが世界全体の5%にとどまるのに対して、生産量のシェアは27%に達しており、埋蔵量と生産量のギャップが大きい。この結果、可採年数(埋蔵量を生産量で割った数値:R/P)は中東地域が200年弱であるのに対して、北米はわずか11年にすぎない。つまり北米地域は今後新たなガス田が発見されない限り、10年強で天然ガス資源は枯渇することになる。全世界の平均R/Pは60.4年であるが、これを上回っているのは中東とアフリカ(68年)の2地域だけである。このことから地域別に見て天然ガスの生産を拡大できるポテンシャルを持っているのは中東とアフリカ地域であると言えよう。

  次に国別に見ると、最大の天然ガス生産国はロシアであり、同国の2008年の生産量は6,017億㎥であった。第2位は米国(5,822億㎥)であり、両国で全世界の39%の天然ガスを生産している。これに続くのがカナダ(1,752億㎥)、イラン(1,163億㎥)、ノルウェー(992億㎥)である。6位から10位にはアルジェリア(865億㎥)、サウジアラビア(781億㎥)、カタール(766億億㎥)、中国(761億㎥)及びインドネシア(697億㎥)が名を連ねている。(表「国別天然ガス生産量ベスト20(2008年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-3-94GasProductionByCountries.htm参照)  

(2) 天然ガス生産量の推移

(上図「天然ガス地域別生産量の推移(1970~2008年)」参照。拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-94bGasProduction1970-.gif

 1970年に1兆㎥を超えた天然ガスの生産量はその後40年近くにわたり一度たりとも前年生産量を割ることなく増加を続け、2008年には3倍の3兆656億㎥の生産量を記録している。石油の場合は第二次オイルショック後の1980年から急激に需要が減退し、オイルショック前の水準に戻るまで10年以上の歳月を要しており、これは天然ガスと石油の大きな相違点である。更に過去数年の対前年増加率は3~4%前後で90年代を上回る伸び率を示しており、今後ますます天然ガスの生産が拡大するであろうと予測される。

  地域毎の生産量の推移にはいくつかの大きな特徴が見られる。1970年の世界の天然ガス生産のうち北米と欧州・ユーラシアが実に全世界の94%を占めており、残る6%をアジア・大洋州、中東、中南米及びアフリカで分け合っていた。1970年に6,630億㎥であった北米の生産量はその後微増にとどまっており、2008年に8,120億㎥となり、世界に占めるシェアも66%(1970年)から27%(2008年)に低下している。欧州・ユーラシア地域の生産量は1970年の2,820億㎥から急速に伸び、1982年には北米を追い抜き、1980年代後半には全世界の生産量の5割を占めるまでになった。しかし同地域の生産量は90年代以降伸び悩んでおり、2008年の世界シェアは36%にとどまっている。

  一方、1970年には生産量200億㎥以下でシェアがわずか2%でしかなかったアジア・大洋州或いは中東は、90年以降生産量が急速に増大しており特にここ数年増加の割合が加速された感がある。その理由としてはこの両地域がこれまで天然ガスの消費市場から遠く、パイプラインによる供給が困難であったが、近年天然ガスを液化するLNGの市場が拡大したことにより、これらの地域での天然ガス田の開発と生産が進んだためと考えられる。

(天然ガス篇第2回完)

(これまでの内容)

天然ガス篇(1):世界の天然ガスの埋蔵量

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(6月26日)

2009-06-26 | 今日のニュース

(アブダビ)日本で原油を共同備蓄:両国で覚書締結  *

*経済産業省プレスリリース参照

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(6月25日)

2009-06-25 | 今日のニュース

・サウジアラムコ、国内ガス需要の増加で石油から天然ガス開発にシフト

 

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BPエネルギー統計レポート2009年版解説シリーズ:天然ガス篇(1)

2009-06-24 | その他

*HP「中東と石油」に本シリーズ(1)埋蔵量~(6)貿易(その3)が一括掲載されていますのでご覧ください。

BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2009」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

天然ガス篇(1):世界の天然ガスの埋蔵量

1.2008年末の確認埋蔵量

 2008年末の世界の天然ガスの確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は185兆立方メートル(以下tcm: trillion cubic meter)であり、可採年数(R/P)は60.4年である。可採年数とは埋蔵量を同年の生産量で割った数値であるが、これは現在の生産水準をあと何年続けられるかを示している。

  埋蔵量を地域別に見ると上図のごとく中東地域が全世界の埋蔵量の41%を占めている(拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-92GasReserveByRegion.gif参照)。これに次ぐのが欧州・ユーラシアの34%であり、この2地域だけで世界の埋蔵量の75%を占めており、その他のアジア、アフリカ、南北アメリカなどはすべて合わせても全体の4分の1にとどまっている。このように世界の天然ガスの埋蔵量は一部地域に偏在していると言える。

  次に国別に見ると、世界で最も石油埋蔵量が多いのはロシアの43tcm、世界全体の23%を占めている。第二位はイラン(30tcm、16%)、第三位カタール(25tcm、14%)であり、これら3カ国だけで世界の埋蔵量の53%に達する。4位以下、10位まではトルクメニスタン(世界シェア4.3%)、サウジアラビア(4.1%)、米国(3.6%)、UAE(3.5%)、ナイジェリア(2.8%)、ベネズエラ(2.6%)、アルジェリア(2.4%)と続いており、上位10カ国の世界シェア合計は77%である。つまり世界の天然ガスの埋蔵量の6割弱が3カ国で占められ、また8割弱が10カ国に集中しているのである。(詳細は「国別天然ガス埋蔵量ベスト20(2008年末)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/1-D-3-92GasReservebyCountry.htm 参照)

2.1980~2008年の埋蔵量及び可採年数の推移

(詳細は「天然ガスの埋蔵量と可採年数(1980~2008年)」http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-93aGasReserve&RP.gif 参照)

  1980年末の世界の埋蔵量は82tcmであったが、2008年末のそれは185tcmである。埋蔵量は2.3倍に増加しているが、これは1989年と2001年の2回にわたる大幅な増加を挟みほぼ3期に分けることができる。即ち1980年代は年率4%の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は110tcmに達した(第1成長期)。そして1989年には対前年比12%と大幅に増加し、同年末の埋蔵量は123tcmとなった。その後1990年代は年間成長率がやや鈍り平均2%となり、1999年末の埋蔵量は151tcmであった(第2成長期)。2001年は前年比8.5%拡大して同年末の埋蔵量は170tcmに達したが、2002年以降は年間成長率が1%以下に停滞している(第3期:停滞期)。2007年及び2008年の対前年増加率はそれぞれ1.9%、4.5%となっており、天然ガスの埋蔵量は再び成長する兆しが見られる。

  地域別の埋蔵量の構成を見ると(http://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2-D-3-93bGasReserve1980-200.gif参照)、1980年は欧州ユーラシア地域が世界全体の41%を占め最も大きく、次いで中東地域が30%であった。この2地域が世界の埋蔵量の7割強を占める構図は2008年まで変わっていないが、欧州ユーラシア地域の比率は1990年代初めに44%まで上昇した後、徐々に低下し2008年末には34%になった。これに対して中東地域の世界に占めるシェアはほぼ一貫して増加し、2000年には世界最大の天然ガス埋蔵地域となった。そして現在(2008年末)では両社のシェアの差は7%に広がっている。

   その他の地域に関しては北米地域のシェアは1980年以降大きく低下しており、同年に世界の12%を占めていたものが、2008年には4.8%に落ち込んでいる。これに対してアジア・大洋州地域は1980年に5.5%であったシェアが2008年には8.3%に増大しており、天然ガスの成長地域となっている。

  可採年数については1980年から現在に至るまでさほど大きな変動は見られない。80年代前半はほぼ60年前後で推移した後、90年代の可採年数は若干高い65~67年の水準で維持してきた。そして2001年に可採年数が1980年以降では最も高い年数(69年)に達した後、その値は年々低下しており、2008年は60.4年と1980年代の水準に逆戻りしている。2007及び08両年は埋蔵量が増加した(上記)にもかかわらず、可採年数が増加しないことは、天然ガスの生産(=消費)が拡大していることを示している(生産及び消費については次回、次々回で解説の予定)。石油に比べクリーンなエネルギーとして天然ガスに対する期待がますます高まっており、新しいガス田発見のための探鉱活動を強力に推進する必要があると言えよう。

(天然ガス篇第1回完)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(6月24日)

2009-06-24 | 今日のニュース

・ドバイが指標原油を7月からオマーンDMEに変更

・第6回OPEC/EU合同会議:バブル阻止のための規則が必要

 

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BPエネルギー統計2009年版解説シリーズ:石油篇(5)

2009-06-23 | その他

*HP「中東と石油」に本シリーズ(1)埋蔵量~(5)原油価格が一括掲載されていますのでご覧ください。

 

BPが毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2009」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量及び石油価格のデータを抜粋して解説したものである。

石油篇(5):原油価格

   1976年以降の原油価格の推移を見ると、1973年の第一次オイル・ショックでバレル当たり10ドル台となった原油価格は、1979年の第二次オイル・ショックにより1980年には40ドル近くにまで跳ね上がっている。(上図参照。青の実線はWTI原油の年間平均価格。拡大図はhttp://menadatabase.hp.infoseek.co.jp/2D-2-97SpotCrudePrices.gif )  

しかし石油の消費量は1979年をピークとしてその後長期にわたり低迷したため、価格も1980年代後半には10ドル台に下落した。原油価格が20ドル台を回復するのは2000年に入ってからである。

 ところが2003年以降、価格は急騰し、2004年には第二次オイル・ショック時の価格を突破、その後も毎年大幅に上昇して、2008年7月には史上最高の147ドルに達し、同年の年間平均価格も100ドルの大台を突破し100.06ドルとなっている。2002年の年間平均価格26.16ドルに対し実に4倍弱に跳ね上がっている。

  このように名目価格としては2004年の年間平均価格(41.49ドル)はオイル・ショック時の1980年を追い抜いているが、1980年当時の価格を2008年のベースに換算すると96.62ドルに相当する(上図参照)。2008年の年間平均価格は100.06ドルであるから、同年は名目的にも実質的にも史上最高の価格水準であったと言える。

(以上で石油篇を終わります。次回からは天然ガス篇です。)

(これまでの内容)

石油篇(4):世界の石油精製能力

石油篇(3):世界の石油消費量

石油篇(2):世界の石油生産量

石油篇(1):世界の石油の埋蔵量

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