石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ホームページ「マイ・ライブラリー」のご案内

2024-07-09 | その他

 これまでにブログおよび各種の雑誌への寄稿等に発表したレポート、エッセイ等を「マイ・ライブラリー(論稿集)」としてまとめました。 日々のニュースをモニタリングしているブログ「石油と中東」及び荒葉一也編集ブログ「OCIN Initiative」及び「Middle East Informant」とあわせてお読みください。

おすすめのコーナー:

・(New)世界主要国のソブリン格付け(2024年7月現在)

・(New)世界ランクシリーズ5 男女格差指数(2024年版)

・(New)OPECプラスの協調減産を分析する

・(New)五大国際石油企業/アラムコ/邦系2社2023年(度)業績比較

・(New)五大国際石油企業2024年1-3月業績比較

・(New)世界ランクシリーズ7 軍事費と武器輸出入(2024年版)

・(New)世界のGDP(IMF WEO 2024年4月版)

・(New)五大国際石油企業2023年1-12月業績比較

・戦後ガザはどうなるのか?当事者たちの本音と本性

・世界ランクシリーズ10 報道の自由度

・世界タンクシリーズ1 人口・出生率・平均寿命

・アラブ世界の大企業500社番付

・アイアンドーム防空システムの裏をかくハマス

グローバルサウスに傾斜するMENA諸国(MENAの多国間関係)

・EI世界エネルギー統計2023年版

・(再録)サウジアラビア・サウド家

・エッセイ「挽歌・アラビア石油(私の追想録)」

 

 

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仏、イスラエルは格下げ:世界主要国のソブリン格付け(2024年7月現在) (4完)

2024-07-08 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0606SovereignRatingJuly2024.pdf

 

2.2021年7月以降の格付け推移(続き)

(改善著しいオマーン!)

(3)GCC6カ国の格付け推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01c.pdf参照)

 GCC6か国(UAE、クウェイト、カタール、サウジアラビア、オマーン及びバハレーン)の過去3カ年のソブリン格付けの推移を見る。なおUAEはアブダビとラス・アル・ハイマの2首長国のみが格付けされている(ドバイは格付け対象外)ため、本稿ではアブダビの格付けをUAEとみなして比較している。

 

まず2021年7月時点ではアブダビはAAであり、これに続きクウェイトとカタールがAA-に格付けされていた。しかしクウェイトは2021年下半期にはA+に格下げされ、これに対してカタールは2022年下半期にAA-からアブダビと同格のAAに格上げされている。

 

3カ国は政治体制、人口・経済規模などが似通った産油(ガス)国である。それにもかかわらずクウェイトが格下げされているのは、同国が中途半端な議会制民主主義を採用している結果、政情が安定せず経済改革がほとんど進まないことに原因があると考えられる。カタールについては前項でも触れた通り天然ガス(LNG)が世界的に品不足で価格が高騰したためである。

 

サウジアラビアはこれら3カ国より低いA-であったが、2023年上半期にAに格上げされている。世界的な景気回復とOPEC+の協調減産による原油価格の上昇が同国の経済見通しを明るいものにしている。但し同国はUAE(アブダビ)、クウェイト、カタールを大きくしのぐエネルギー歳入を誇りながら、一方で人口も3カ国より飛びぬけて多いため、財政的なゆとりが乏しい。S&Pはこれらの事情を考慮してサウジアラビアの格付けを他の湾岸産油国より厳しく見ているようである。

 

産油量の少ないオマーンとほとんどないバハレーンの格付けは2021年7月時点では他の4カ国よりかなり低いB+にとどまっていた。その後、バハレーンは現在までB+格付けのままであるが、オマーンは2022年に一気に2ランクあげてBBとした後、2023年下期にさらに1ランク上のBB+に格付けされている。BB+は投資不適格では最も上のランクであり、同国は投資適格を目指して努力中である。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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仏、イスラエルは格下げ:世界主要国のソブリン格付け(2024年7月現在) (3)

2024-07-05 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0606SovereignRatingJuly2024.pdf

 

2.2021年7月以降の格付け推移

  ここでは2021年1月以降現在までのソブリン格付けの推移を(1)G7及びアジア主要国、(2)BRICS及びトルコ、エジプト、並びに(3)GCC6カ国、それぞれについて検証する。

 

(投資適格で最も低いBBB-が続くインド!)

(1) G7及びアジア主要国の格付け推移(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01a.pdf参照)

先進国の中ではドイツが過去3年間継続して最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を続けている。なお米国の場合、S&Pは2011年にトリプルAからAA+に引き下げ、またS&Pと並ぶ格付け会社FitchRatingは一昨年トリプルAからAAに引き下げている。

 

アジアの経済大国中国と日本の格付けは過去3年間A+で推移している。AAAのドイツより4ランク、米より3ランク低く、過去3年間格差は解消していない。台湾は2021年は英国、仏、韓国と並びAAであったが、2022年上期に米国と並ぶAA+に引き上げられた。これに対してG7の一角を占める仏は今年上半期にAA-に格下げされた。

 

2025年には日本を追い抜き、米国、中国、ドイツに次ぐ世界第4位のGDP大国になると予測されているインドは[1]、過去3年間BBB-である。これは投資適格の中で最も低く、S&Pの格付け定義では「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」とされている。

 

(格付けなしのロシア!)

(2) BRICS及びトルコ、エジプト(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01b.pdf参照)

コロナ禍前の世界的な経済成長の中で注目されたBRICs諸国のうち、上述した中国、インドを除く3カ国(ブラジル、ロシア、南アフリカ)並びに中東の大国トルコとエジプトを加えた5カ国のソブリン格付けの推移は以下のとおりである。

 

2021年7月時点ではロシアがBBB-であり、唯一投資適格であった。しかし2022年4月のウクライナ侵攻に伴い、S&Pは同国をN.R.(No Rating)として格付け対象から除外しており、現在もその状態が続いている。

 

2021年7月の格付けは、ブラジルと南アフリカがBB-、トルコは1ランク低いB+、エジプトはさらに1ランク低いBであり、4カ国はいずれも投資不適格であった。BBの格付け定義は、「より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。」とされ信用度が低い。

 

トルコは2022年下期にB+からBに格下げされてエジプトと同格付けになったが、今年上半期に再びB+に戻った。一方エジプトはBからB-に格下げされ、トルコと明暗を分けている。

 

(続く)

 

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[1] 「IMF 世界経済見通し(2024 年 4 月):低成長続く先進国、高成長続くインド」参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/0600ImfWeoApr2024.pdf 

 

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仏、イスラエルは格下げ:世界主要国のソブリン格付け(2024年7月現在) (1)

2024-07-02 | その他

 本レポートは著名な格付け会社Standard & Poors (S&P)[1]の世界主要国及びMENA諸国のソブリン格付け[2]を取り上げて各国を横並びに比較するとともに、いくつかの国について過去3年間にわたる半年ごとの格付け変化を検証するものである。

 

 因みにS&Pの格付けは最上位のAAA(トリプルA)から最下位のCまで9つのカテゴリーに分かれている。このうち上位4段階(AAAからBBBまで)は「投資適格」と呼ばれ、下位5段階(BBからCまで)は「投資不適格」又は「投機的」とされている。またAAからCCCまでの各カテゴリーには相対的な強さを示すものとしてプラス+またはマイナス-の記号が加えられている[3]。なおC以下でS&Pが債務不履行と判断した場合はSD(Selective Default:選択的債務不履行)格付けが付与され、さらに格付けを行わない場合はN.R.(No Rating)と表示される。

 

S&P(日本)ホームページ:

https://disclosure.spglobal.com/ratings/jp/regulatory/delegate/getPDF?articleId=3208172&type=COMMENTS&subType=REGULATORY&defaultFormat=PDF

 

*過去のレポートは下記ホームページ参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/SovereignRating.html 

 

(日本は台湾/韓国より低く、中国/イスラエルと同じA+!)

1.2024年7月現在の主要国の格付け状況

(表:http://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-01.pdf 参照)

2024年7月現在の格付けを今年1月のそれと比べると最高格付けAAA(トリプルA)のドイツ、カナダ、シンガポールに変動は無く、またAA+の米国[4]、AAの英、A+格付けの日本、中国なども変化はなかった。しかしこれまで英国と同格であったフランスはAAからAA-に格下げされた。

 

極東諸国(地域)の中では台湾と香港が最高ランクのAAA(トリプルA)に次ぐAA+に格付けされている。韓国はこれら2カ国より1ランク低いAAであり、日本と中国はさらに2ランク低いA+とされている。台湾と香港の格付けは米国と同格である。日本は中国と同じA+であり中東諸国クウェイト或いはイスラエルと同格、サウジアラビア(A)よりも1ランク高い。台湾は政治的、軍事的に緊張をはらんだ状況に置かれているが、IT産業が好調であるなど、経済的には日本或いは中国よりも安定していることから高いソブリン格付けを得ている。中国の動向を踏まえると、今後台湾と香港がどのように評価されるか注目される。

 

G7の国々のうちドイツ及びカナダはAAAの最高格付けであり、米国は1ランク下のAA+、英国はさらに1ランク低いAAである。フランスは今回AA-に格下げされた。日本はフランスに次ぐA+に格付けされ、イタリアは投資適格ではあるがG7の中では極めて低いBBBにとどまっている。

 

因みに格付け定義ではAAは「債務を履行する能力は非常に高く、最上位の格付け(トリプルA)との差は小さい」とされ、これに対して格付けAは「債務を履行する能力は高いが上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい」とされている。またBBBの定義は「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い」格付けである。

 

(続く)

 

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[1] 世界的な格付け会社はS&P社のほかにMoody’s及びFitchRatingがあり、三大格付け会社と呼ばれている。

[2] ソブリン格付とは国債を発行する発行体の信用リスク、つまり債務の返済が予定通りに行われないリスクを簡単な記号で投資家に情報提供するものである。「ソブリン格付け」は、英語のsovereign(主権)に由来する名称であり、国の信用力、すなわち中央政府(または中央銀行)が債務を履行する確実性を符号であらわしたものである。ソブリン格付けを付与するにあたっては、当該国の財政収支の状況、公的対外債務の状況、外貨準備水準といった経済・財政的要因だけでなく、政府の形態、国民の政治参加度、安全保障リスクなど政治・社会的要因を含めたきわめて幅広い要因が考慮される。

[3] S&Pの格付け定義についてはhttp://menadabase.maeda1.jp/1-G-3-02.pdf参照。

[4] FitchRatingは最近米国格付けを最上位のAAAからAAに引き下げた。S&Pはすでに2011年にAAAからAAに引き下げている。引き下げの理由はFitchRating, S&P共に連邦債務の上限問題に関して連邦政府と議会の関係が不安定であるためとしている。

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(8完)

2024-05-10 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

5.2014年~2023年の軍事費の推移(続き)

(急上昇するウクライナとロシア、上昇の気配示すイスラエルとイラン!)

(1)四つの紛争当事国(ロシア、ウクライナ、イスラエル、イラン)の軍事費の推移

(図http://rank.maeda1.jp/7-G05b.pdf参照)

2022年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発したウクライナ戦争と昨年10月のパレスチナ軍事組織ハマスによる入植地テロ事件に対してイスラエルが陸と空からガザ地区を攻撃したガザ戦争は共に未だ終息の気配を示していない。

 

ここではウクライナ戦争の当事国であるロシアとウクライナ、そしてガザ戦争におけるイスラエルとハマスを支援するイラン、4カ国の国防費の推移を検証する。

 

まずロシアの軍事費は2015年から2021年まで600億ドル台で推移したが、その後2022年、23年は1千億ドル台に急増している。ウクライナの場合はさらに大きな変化を示しており、2014年から2021年までの8年間、同国の軍事費は30~60億ドルに過ぎなかったが、2022年には一挙に412億ドルに急増、2023年にはさらに648億ドルに増加、2021年以前の10倍以上の水準に達している。

 

この結果、2023年の世界ランクを見ると、ウクライナは軍事費総額で世界8位、一人当たり軍事費は6位、GDP比率及び歳出に占める比率は世界1位となっている。因みに武器の輸出入ではウクライナは2021年までは世界有数の輸出国であったが、2022年以降は輸出が激減した一方、輸入は急増している。

 

イスラエルとイランについてはガザ戦争が昨年10月に始まったばかりであり統計上に顕著な増加は認められないが、過去10年間の推移を見ると、イスラエルは2014年の177億ドル以降漸増しており、2019年に200億ドルに達し、2023年の軍事費は275億ドルである。またイランの場合は2014年から2018年まで年間100億ドル台であった軍事費は2020年に33億ドルまで減少している。しかしそれ以降は再び増加する傾向にあり2023年の軍事費は103億ドルに達している。今回のガザ戦争でイランは初めてイスラエル本国に対しミサイル或いはドローン攻撃を行ったが、それ以前からレバノンのヒズボッラー、イエメンのフーシ派、イラクの非政府軍事組織などに軍事支援を行っており、最近のイランの軍事費増加の要因の一つであることは間違いないであろう。

 

ガザ戦争の今後の動向は未知数であるが、事態の展開によってはイスラエルとイランの軍事費が増加すると考えられる。

 

以上

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(7)

2024-05-09 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(10年前に比べ中国、インドは1.6倍、日本は10%増!)

5.2014年~2023年の軍事費の推移

 ここではまず米国、中国、インド及び日本の4カ国の過去10年間の軍事費の推移を比較し、次いで現在進行中の二つの熱い戦争、すなわちウクライナ戦争及びパレスチナ戦争について、それぞれの紛争の当事国と言えるロシア、ウクライナ、イスラエル及びイラン4カ国の軍事費の増減を比較検討することとする。

 

(年平均6%の高い伸びを示す中国とインド!)

(1)米中印日各国の軍事費の推移

(図http://rank.maeda1.jp/7-G05a.pdf参照)

 日本と米国、中国及びインド4カ国主要国の過去10年間(2014年~2023年)の軍事費の推移を比較すると、2014年の軍事費は米国が6,478億ドルで最も多く、これに次ぐのは中国の1,821億ドル、インド509億ドル、日本469億ドルであった。4カ国の順位はその後10年間変わっていないが、日本とその他3カ国の格差は拡大している。

 

米国の軍事費は2014年以降2017年までは横ばいの微減状態であったが、その後は年々増加し2021年には8千億ドルを超え2023年には9千億ドルを超えている。この間の年間平均増加率は4.1%であった。これに対して中国の軍事費は年平均6.3%増加、2017年には2千億ドルを突破、2022年は2,964億ドルと10年間で1.6倍に増加、米国との格差も3分の1に縮小している。

 

インドも中国とほぼ同じ割合で増加し2014年の509億ドルから2023年には1.6倍の836億ドルに増加しており、世界順位も米国、中国、ロシアに次いで4位に上がっている。

 

これら3カ国に対して日本の軍事費は横ばい傾向にあり、10年間を通じて年間軍事費は500億ドル前後の水準にとどまっている。即ち2014年の軍事費は469億ドルであり、その後2020年に514億ドルのピークに達した後、再び500億ドル前後にとどまっている。この結果10年前は世界7位であったが、2023年の世界ランクは10位である。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(6)

2024-05-08 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(武器輸入額ではサウジアラビアが世界一、日本は世界11位!)

(2) 主要国の武器輸入額(2014年~2023年合計額)

(表http://rank.maeda1.jp/7-T07.pdf及び図http://rank.maeda1.jp/7-G07.pdf参照)

 2014年から2023年までの10か年間の武器輸入累計額は世界全体で約2,850億ドルであった。国別ではサウジアラビアが最も多く同国の過去10年間の輸入累計額は279億ドル、世界全体の9.8%を占めている。輸入国第2位はインドの269億ドル、世界シェアは9.4%である。

 

 第3位はエジプト、第4位カタール、第5位オーストラリア、第6位中国である。中国の過去10年間の武器輸入累計額は111億ドルであるが、前項でも述べた通り同国は輸出額でも世界第5位であり、武器貿易が活発なことを示している。第7位はパキスタンの103億ドルであり、これら7カ国が輸入累計額100億ドル(年平均10億ドル)を超えている。

 

8位から10位はアルジェリア、韓国及びUAEでその額は80億ドル(年平均8億ドル)台である。因みに日本の過去10年間の武器輸入累計額は79億ドル、年間平均8億ドルであり、UAEに次いで世界11位に相当する。日本の場合、軍事費(2023年、502億ドル、第1項参照)に比べ輸入額の割合が小さいのは武器の国産化が進んでいるためと考えられる。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(5)

2024-05-07 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

6.世界の武器輸出国と輸入国

 ここでは世界の武器の輸出入額を取り上げる。各国の輸出入額は年度によって大きく変動するため、2014年から2023年までの10年間の累計額について比較検討を行う。

 

(世界の4割を占める巨大な武器輸出国―米国!)

(1)主要国の武器輸出額(2014年~2023年累計額)

(表http://rank.maeda1.jp/7-T06.pdf及び図http://rank.maeda1.jp/7-G06.pdf参照)

 2014年から2023年までの10か年間の武器輸出累計額は世界全体で2,850億ドルであり、年間平均では285億ドルになる。国別では米国が際立って多く、同国の10年間の輸出総額は1,080億ドルである。これに次ぐのはロシアの460億ドルであった。世界全体に占める割合はそれぞれ38%及び16%であり、2か国を合わせると世界の武器輸出額の5割強を占めている。

 

 米国、ロシアに次いで輸出額が多いのはフランスの257億ドルであるが、米国あるいはロシアの2乃至4分の1にとどまっている。これら3カ国に続いて10年間の累計輸出額が100億ドルを超えているのはドイツ(169億ドル)、中国(167億ドル)、英国(111億ドル)である。なお次項(輸入額)に触れるとおり中国は輸入額でも世界第7位であり輸出入双方で世界上位10カ国に入っているのは同国だけである。

 

 武器輸出額7位から10位はイタリア、イスラエル、スペイン及び韓国である。上位10か国のうちヨーロッパ諸国が半数を占めており、ヨーロッパは世界的な武器生産地域であることがわかる。なお上位10カ国は戦闘機、艦船、戦車、ミサイルなど高額な兵器を得意としているため輸出額が膨らんでいる。しかし世界の多くの紛争地域では小銃、機関銃、地雷、ロケットなど小型火器が使われている。その意味ではトルコ(輸出総額32億ドル、世界12位)は米国あるいはロシアに比べ金額的には少ないが影響力は小さくないと言えよう。なおトルコは攻撃型UAV(ドローン)の輸出に力を入れているが、このような比較的安価なIT兵器は今後トルコを含めた開発途上国の有力な輸出商品になるものと思われる[i]

 

(続く)

 

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[i] レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用」参照。

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(4)

2024-05-06 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(歳出の半分を超えるウクライナとベラルーシ!)

4.歳出に占める軍事費の比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G04.pdf参照)

 次に歳出に占める軍事費の比率を見ると、世界1位はロシアと戦争中のウクライナであり、同国は歳出の6割近くを軍事費に充当している。第2位はウクライナの隣国でロシアの友邦国ベラルーシである。同国も軍事費が歳出の5割を占めている。第3位以下はサウジアラビア(24.04%)、ミャンマー(20.68%)及びオマーン(20.66%)であり、上位5カ国の軍事費は歳出の20%を超えている。サウジアラビアの軍事費は金額及び一人当たりで世界5位、GDP比率では世界4位である(1~3節参照)。世界最大の産油国の一つである同国は軍備に金を惜しまない国であることを示している。

 

 その他主要国の比率を比べると、ロシアは世界10位の16.14%、イスラエル14.59%(世界14位)、韓国11.10%(世界24位)であり、世界29位のブルネイ(10.23%)までが10%を超えている。米国の比率は9.06%であり、インドは8.15%、中国4.97%である。上記以外の主要な中東諸国ではイランが13.53%(世界20位)、エジプトは4.15%(世界88位)である(トルコはデータなし)。

 

このような中で日本の比率は2.82%にとどまっており、世界121位と際立って低いのが特徴である。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(3)

2024-05-05 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(ウクライナが突出、GDPの37%に達する軍事費!)

3.軍事費のGDP比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G02.pdf 参照)

 各国のGDPに占める軍事費の比率を見ると、世界1位はウクライナであり、その比率は37%である。2位レバノンの8.9%に比べウクライナは突出している。3位以下の国とその比率は次のとおりであり、9位のイスラエルまでがGDP比率5%を超えている。

 

 アルジェリア(8.17%)、サウジアラビア(7.09%)、南スーダン(6.26%)、ロシア(5.86%)、アルメニア(5.45%)、オマーン(5.40%)、イスラエル(5.32%)、ヨルダン(4.91%)

 

 上位の顔触れを見ると中東・北アフリカ(MENA)諸国が多い。これに次いで多いのがウクライナ、ロシア、アルメニアなど中東と隣接したユーラシア地域の国々である。紛争が多い両地域が過大な軍事費を負っている姿が浮かび上がる。中東地域の大国であるトルコ、イラン及びエジプは軍事費総額ではそれぞれ世界22位、26位、52位であるが、GDP比率はイラン2.06%、トルコ1.50%、エジプト0.87%で、世界順位はそれぞれイラン50位、トルコ83位、エジプト118位であり、エジプトは軍事費のGDP比率が世界の中でも低い。

 

その他の主要国を見ると米国は3.36%、韓国2.81%、インド2.44%、中国1.67%などである。日本のGDP比率は1.20%、世界102位であり欧米先進国の中でも最も低い水準にとどまっている。

 

(続く)

 

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