カタルがインドネシアを抜いて世界一のLNG輸出大国に(Bloomberg記事)
第143回OPEC(臨時)総会は、14日ナイジェリアのアブジャで開催され、10月のカタル緊急会合による120万B/Dに引き続き50万B/Dの追加減産を決定した。またアンゴラを12番目のOPECメンバーとすることも承認された。会議後に発表されたプレスリリースの概要は下記の通り。
・ 現在の市場には十分な原油が供給されており、在庫水準及び余剰生産能力も高いと判断される。
・ 来年の経済成長は原則する。需要は130万B/D増加するが、非OPEC産油国の供給は180万B/D増加すると予想される。
・ OPECの現行生産水準を来年2月1日から更に50万B/D削減する。
・ 次回通常総会を2007年3月15日にウィーンで行う。
・ アンゴラを来年1月1日から12番目の正式メンバーとする。
・ Mr.Abdulla Salem El Badri(リビア)をOPECの事務総長に任命、任期は来年1月から3年間。 (注、来年度のOPEC議長は9月総会でUAEのAl Hamri石油相を選出済)
(解説)
今年7月にバレルあたり78ドル(米国WTI)の史上最高値つけた原油価格は、9月には60ドル以下に急落したため、OPECは10月に緊急会合を開き120万B/Dの減産を決定した。この結果、最近の原油価格は60ドル台を回復し減産の効果が現れたと言える状況である。(10月緊急会合に関しては本ブログ「OPEC、緊急会合で120万B/D減産―五つの疑問」参照)
OPECは、来年の見通しについて130万B/Dの需要増に対し、非OPEC産油国の供給が180万B/D増加するとしている。今回の追加減産量50万B/Dの決定は、この需給ギャップを念頭に置き、OPECが現在の60ドルの価格水準を維持する意向を示したものと理解される。
しかし10月の緊急会合では120万B/Dの各国割当量を決めたにもかかわらず、今回の50万B/Dについては具体的な国別割当は公表されていない(15日現在)。市場では実際に120万B/D減産されているか疑問視する見方もあり、またOPEC自身も各国の減産を正確に監視するのは困難と思われる。従って50万B/Dの追加減産についてもどの程度実効性があるかは不明である。
OPECは10月と12月の2回にわたり合計170万B/Dを削減した。いずれも削減数量を決めたものであり、従来のような各国の公式生産枠を削減したものではない。従ってOPECの公式生産枠は2005年7月に決定された2,800万B/Dが今も存続した形になっている。しかし10月緊急会合前のOPECの実際の生産水準は2,750万B/Dとするのが一般的な見方であり、このため各種メディアは新しい生産水準を、2,750万-120万-50万=2,580万B/D、としているようである。
またアンゴラが12番目の正式メンバーとなった。当初5カ国で発足したOPECは、その後13カ国まで増えたが、1990年代前半にエクアドル及びガボンが脱退して以来、現在の11カ国体制が続いていた。最近はOPECのシェアを高めようと加盟国増加の動きが出ている。特に反米急進派のベネズエラは、今年6月のカラカス総会でアンゴラ、スーダン及びエクアドル3カ国の加盟を画策したが、露骨な政治的意図が他の加盟国に敬遠され、総会の議題とはならなかった(石油文化「OPEC内部で対外路線の違いが浮き彫りに」参照)。今回のアブジャ総会でどのような議論が交わされたのかは不明である。
ともあれアンゴラは近年石油生産が急増しており、BP統計では2005年の生産量は124万B/Dに達している。これはインドネシアよりも多く世界第19位であり、OPECメンバーの資格は十分あると判断される。同国の加盟により2005年のOPECのシェアは41.7%が43.3%となる(BP統計ベース)。なお、同国をメンバーに加えたことにより、現在放置されたままの公式生産枠の見直しが必要になると思われる。OPECのような生産カルテルが機能するには、メンバーの生産枠を明確にすることが前提条件だからである。
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