石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2020年版解説シリーズ天然ガス篇 (18)

2020-08-24 | BP統計
(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0511BpGas2020.pdf


BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2020」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。
 *BPホームページ:
http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

(中国が世界最大のガス輸入国に!)
(5) 2019年の天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)
(5-1)輸出 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G08.pdf 参照)
 2019年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆2,866億㎥であった。輸出量トップはロシアの2,566億㎥であり、内訳はP/Lによるものが2,172億㎥、LNGが394億㎥であった。世界の輸出全体に占める同国の割合は20%である。これに次ぐのがカタールの1,286億㎥であり、内訳はLNG輸出が1,071億㎥、P/LはUAE向けの215億㎥である。第3位は米国の1,229億㎥で、内訳はP/Lによるものが754億㎥、LNGが475億㎥であった。これら3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、合計シェアは世界の40%に達する。その他の主な輸出国はノルウェー、オーストラリア、カナダ、アルジェリアなどである。

(5-2)輸入 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G07.pdf 参照)
 一方輸入国としては中国が1,325億㎥と最も多く、次いでドイツが1,096億㎥、日本が1,055億㎥である。輸入量が1千億㎥を超えるのはこの3か国だけであるが、3カ国の合計シェアは27%にとどまり、輸出量上位3か国のシェア(40%)に比べかなり小さい。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていることが読み取れる。

輸入国の順位では2017年まで日本が世界第1位であったが、2018年に中国がトップになっている。中国の輸入は今後も日本を上回るペースで増加すると考えられ、同国が世界一のガス輸入国に定着することは間違いないであろう。日本とドイツを比べると、日本は全量がLNG、ドイツは全量P/Lと特色が分かれている。第4位以下は米国(747億㎥)、イタリア(675億㎥)、フランス(601億㎥)、メキシコ(574億㎥)と続いている。なお既述のとおり米国は隣国のカナダあるいはメキシコとパイプラインによる相互貿易を行っていることもあり、世界3位の輸出国であると同時に世界第4位の輸入国でもある。

(天然ガス篇 貿易量完)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
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